「人権文化」「ジェンダー平等」を促進

「人権教育」の重要性

第2次世界大戦の経験から、人類は、人権が全ての人々の平和な生活に欠かせない条件であることを学びました。人権教育とは、人権に対する人々の理解を深め、それを尊重する態度を養うことです。人権に対する理解を深めることは、自身の人権の大切さを認識すると共に、他者の人権を守る必要性を認識することに繋がります。また、人権侵害を未然に防ぐことにもつながります。人権教育の目標は、世界に「人権文化」を開花させることです。
「一人の変革」を通じた「人権文化」の構築へ
SGI(創価学会インタナショナル)は、池田大作先生の提言を踏まえ、長年に渡り、人権教育の普及に力を入れてきました。一人の変革が、社会を変え、やがては世界を変えていく―。この考え方を基調に、SGIは、人権意識の啓発を通じ、「人権文化」が花開き、一人一人が自他共に幸福に生きることのできる社会を建設する担い手となるよう、国連での活動やノンフォーマル教育に取り組んでいます。
国連の「人権教育」の取り組み
国連は発足と同時に、すべての人の人権擁護に向けた活動を開始しました。そして、3年後の1948年12月10日、第3回国連総会で「世界人権宣言」が採択されました。この宣言の中身を保障し、「人権の世紀」を実現するために、国連を中心に様々な取り組みが進められています。
1948年12月10日
「世界人権宣言」が採択
1995年-2004年
「人権教育のための国連の10年」
2001年8月
反人種主義・差別撤廃世界会議(南アフリカ・ダーバン)が開催
2011年12月
「人権教育および研修に関する国連宣言」
2005年-現在
「人権教育のための世界プログラム」

近年の主な取り組み

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国連における政策形成レベルでの貢献
国連人権理事会では、SGIも所属する「人権教育学習NGO作業部会」が共同声明を提出してきました。

2023年9月、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催された国連人権理事会第54会期で、SGIも所属する「人権教育学習NGO作業部会」が共同声明を提出し、議場でSGIの代表が声明を発表しました。声明では、同作業部会が提出した、2025年から始まる世界人権教育プログラム第5段階に関する提案書に言及。第4段階の焦点である「若者」への人権教育がコロナ禍で大きく阻害されたことを受け、第5段階でも継続して若者に焦点を当てるよう訴えました。とりわけ難民・避難民や障がい者、性的マイノリティーなどの「最も阻害された環境にいる若者」に焦点を当てることを提案しました。なお、国連人権理事会は10月、同第5段階の焦点を「若者と子ども」とすることを決議しました。
世界人権デーにユースフォーラムを開催
12月10日「世界人権デー」を記念し、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本と創価学会平和委員会が、ユースフォーラムを東京で共同主催しました(後援:国連広報センター、LGBT法連合会、協力:国連人権高等弁務官事務所(OHCHR))。第6回となる昨年は、オンラインの参加者も含めて約300人が参加しました。
第1部では、OHCHRのポーリナ・タンディオーノ氏がメッセージを寄せ、国連子どもの権利委員会委員の大谷美紀子氏、立教大学日本手話兼任講師の佐沢静江氏が講演を行った他、パネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、国連広報センターの根本かおる所長の司会進行で、LGBT法連合会事務局長の神谷悠一氏、遠位型ミオパチー患者会代表の織田友理子氏、NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子氏、こども家庭庁こども家庭審議会委員の原田伊織氏が登壇し、人権文化構築における若者の役割について議論を交わしました。
第2部では、「チェンジメーカー:若き人権教育者のストーリー」の映像上映会と分科会が行われ、小グループでのディスカッションが行われました。
「変革の一歩——人権教育の力」展を国際巡回
この展示は、2017年3月に、SGI、国際ネットワーク「人権教育2020」、ジュネーブの「人権教育学習NGO作業部会」、人権教育の促進に取り組む「人権教育と研修に関する8ヵ国プラットフォーム」が共同で制作しました。

「人権教育とは何か」から始まり、人権教育の実践を通して地域や生活の上で変革につながった5つの事例を紹介。2020年1月には、スイス・ジュネーブの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、同展が開催されました。
ダウンロード(PDF)はこちら
https://www.power-humanrights-education.org/exhibition/
「人権教育ウェブサイト」の制作
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)協賛のもと、SGI、国際ネットワーク「人権教育2020」、ジュネーブの「人権教育学習NGO作業部会」、人権教育の促進に取り組む「人権教育と研修に関する8ヵ国プラットフォーム」が共同で制作し、2018年12月に英語版が開設しました。2020年には、新たにフランス語、スペイン語、アラビア語の各言語版のページが完成しました。

また、OHCHRの特設サイトでは、同ウェブサイトの多言語化と、教育現場での活用事例が掲載されました。同ウェブサイトは、展示「変革の一歩——人権教育の力」の内容をより広く共有できるよう、人権教育促進のためのオンラインツールとして制作されたもので、「尊厳への道」や「チェンジメーカー:若き人権教育者のストーリー」の映像が視聴できます。
人権教育ウェブサイト
映画「尊厳への道——人権教育の力」の制作
SGI、人権教育アソシエイツ(HREA)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が共同制作し、2012年9月に国連欧州本部で初公開されました。

この映画は、「人権文化」の建設に積極的な役割が期待される「人権教育」に関する人々の認識を高めるとともに、「人権教育および研修に関する国連宣言」を普及することを目的として制作されたもの。3つのケーススタディを紹介しつつ、人権教育には、人々の意識と生き方を変え、社会を変えるために必要な行動を促す力があることを示しています。

7言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、日本語、ロシア語、スペイン語)で視聴可。

映画「尊厳への道——人権教育の力」

28:13
「わたしたちの権利」日本語版出版
2021年7月、スロベニア共和国政府が推進する人権教育プロジェクト「わたしたちの権利」の教材の日本語版が、同国外務省と創価学会平和委員会の共同制作で完成しました。同プロジェクトは、人権を重要政策課題に掲げるスロベニアが主導して、国際機関や専門家らと共に立ち上げた国際的なプロジェクト。これまで欧州をはじめ、アジア、中東、中南米、アフリカの26カ国の学校等で活用され、30万人の子どもたちが学んできました。今回の日本語版で24言語目となります。創価学会平和委員会が制作し、筑波大学の福田弘名誉教授が監修を務めました。

また、創価学会平和委員会として、教材の内容を詳しく紹介する短編動画を制作。スロベニア外務省の公式YouTubeチャンネルに掲載されました。
国連主催 第9回 宗教間シンポジウムを後援
2023年1月、「国際問題における宗教及び信仰を基盤とする団体(FBO)の役割」をテーマにシンポジウムが開催されました。本行事は、2015年より、国連の「宗教と開発に関する機関間協力タスクフォース」がキリスト系の団体とともに毎年開催してきたもので、第9回となる本年は、7つのFBOおよび国連開発計画(UNDP)とともにSGIが共同主催しました。人間の安全保障をめぐるセッションでは、創価大学のフィスカーネルセン・アネメッテ准教授が登壇し、創価学会の仏教の実践と社会変革との関係性や、池田先生の平和への提言などを取り上げました。
国連女性の地位委員会での討議に参画
2023年7月、世界最大級のジェンダー平等や女性の健康と権利に関する国際会議「ウィメンデリバー」がルワンダの首都キガリで開催されました。期間中、SGIは、二つの関連行事を開催。一つ目の行事では、カメルーンの団体と協力し、思春期の若者や若い女性のリーダーとともに運動を構築する方途を巡り議論を交わしました。二つ目の「ジェンダー平等のための平和」と題する行事では、「宗教的・伝統的ピースメーカーのためのネットワーク」、女性難民委員会、国連財団等と協力して開催。女性の地位に関するNGOの委員会を新たに発足させるとともに、平和と安全保障における女性や若者の役割を強調する国連決議の理念を、女性の地位委員会の議論に組み込む方途を模索しました。
映像「チェンジメーカー:若き人権教育者のストーリー」の制作
SGI、アムネスティ・インターナショナル、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が共同制作し、2023年12月に国連欧州本部で初公開されました。

この映像は、国連が主導する人権教育のための世界プログラム第4段階の焦点である若者への意識啓発を目的として制作されたもの。モロッコ、サモア、南アフリカ、セルビア、メキシコ、キルギス共和国、日本の各地で、人種差別、ジェンダー平等、子どもの権利、性的マイノリティの権利、性教育、障害者の権利など、様々な人権課題に取り組む7人の若手人権教育者のストーリーを収めています。
視聴はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=UiMyE1jfxSI
「勇気の証言——ホロコースト展」を支援
平和委員会は、2015年10月より、ホロコーストの歴史を通じて人権に関する意識啓発を行う展示「勇気の証言ホロコースト展——アンネ・フランクと杉原千畝の選択」の日本国内の巡回展の開催を支援。参加者累計は22万人を超えました。(主催:同展実行委員会、共催:創価大学、サイモン・ウィーゼンタール・センター、協力:創価学会平和委員会)
2022年1月には、同展示の内容をウェブ上で鑑賞できるサイトが、創価大学のホームページ上に新たに開設されました。
「勇気の証言ホロコースト展——アンネ・フランクと杉原千畝の選択」

また、同展の巡回展に関連して、NPO「杉原千畝命のビザ」の杉原美智顧問による講演会(『「命こそ大切」の心を未来へ——杉原千畝の生涯に学ぶ』)を、各地で開催してきました。
女性平和委員会がオンラインアンケート
「子どもの権利条約」を啓発
女性平和委員会が、子どもの権利に関する意識啓発の一環として、中高生世代の子どもを対象にしたオンラインアンケート「クイズで考える『子どもの権利条約』」を推進。

2022年に実施したアンケートは、1989年、国連が採択した「子どもの権利条約」の精神を社会に根付かせるとともに、同条約が一般原則として保障する「意見表明の権利」を中心に、子どもの現状を知り、率直な声を聞くことを目的としています。
中高生世代である12~17歳を対象に、2022年2月から8月末まで実施し、2575人から回答を得ました。
集計結果によると、およそ4人に1人が家や学校などで「意見を聞いてもらえない」と感じることがあると回答。子どもが必要な情報を知り、意見を発信するために、社会に必要な工夫についての設問では、SNSの活用や政策決定への参画、デジタル格差の是正など多様な意見が見られました。また、若者の間で関心が高まる気候変動問題を巡っては、約6割が何か行動している、または、したいと考えているとの結果が出ました。
「クイズで考える『子どもの権利条約』」結果報告動画はこちら
「子どもの権利条約」に関するNGOレポート作成に参加
女性平和委員会は、「国連子どもの権利委員会」に提出する「子どもの権利条約」に関するNGOレポートの作成に参加してきました。

国連「子どもの権利委員会」による日本における条約の履行状況の審査に際し、NGOレポートの作成に参加してきました(1997年から4回にわたって継続)。
主に条約の広報(42条)について調査。なかでも、条約の認知に大きな役割を果たしている小中高校の教科書に、条約がどのように記載されているかを継続して調査しました。
ダウンロード(PDF)はこちら
平和・文化・教育