平和をめざして

人道支援

迫害や紛争などを理由に発生する難民の数は近年増加の一途をたどり、2022年5月時点で1億人以上に達しています。また災害の頻度や規模が増大し、多くの人が犠牲になったり、住む家を追われたりしています。

人道的危機に際しては、対応が可能な組織や団体などの迅速な働きが重要です。そうした中、宗教組織は長年世界各地において、対応の一翼を担ってきました。

日本の創価学会をはじめいくつかの国の組織でも、大災害に際し会館を避難所として提供するなど貢献を行ってきました。また近年は、災害対応における「信仰を基盤とした組織(FBO)」の役割についての議論に積極的に参加しています。

難民問題については、学会は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への支援や現場での支援プロジェクトを実施するとともに、日本社会全体が寛容の精神で難民を支えていけるよう、意識啓発の活動にも取り組んでいます。
コロナ禍への対応
新型コロナウイルスの感染拡大以降、創価学会は国内外各地で支援を行ってきました。初動対応として、緊急事態宣言が発令された8都道府県等に対して義援金の寄付を実施。また各国組織も、マスクやフェイスシールド等の物資・食料支援、献血活動やワクチン接種会場の提供など、各地の需要に応じた支援を提供してきました。

さらに日本の学会青年部は、正しい情報の発信と正しい行動の啓発を目的として「Save Lifeプロジェクト」を発足。その一環として、若者のコロナ禍での生活や意識の変化を把握するためのアンケート「若者とコロナ」を2020年9月に実施。全国で2万人の青年から回答を得て、結果を広く発信しました。また同年4月からは、青年部と医学者の代表による会議を開催し、その内容を聖教新聞紙上に掲載。現状を正しく捉え価値的に乗り越えゆくための発信を行いました。

また2021年には、「信仰を基盤とした組織(FBO)」と研究者のネットワーク団体「信仰とローカル・コミュニティに関する合同学習イニシアティブ(JLI)」による、FBOのコロナ対応に関する調査プロジェクトに参加しました。
東日本大震災等への対応
2011年3月11日に発生した東日本大震災に際し、創価学会は、一時避難所として東北や関東の42会館を提供。会員・非会員を問わず、約5000人の避難者を受け入れました。首都圏では帰宅困難者の受け入れを行いました。またその後は、追善の勤行法要や復興祈念勤行会等を継続的に行っています。

2011年6月には、被災地への物心両面にわたる長期的なサポートを可能にするため、復興本部を設置しました。あわせて東北の被災3県に「復興特区」を設置。さらに現地の出先機関として「復興支援センター」を設け、支援業務にあたりました。

2012年には、人間中心の“心の復興”を目指し、東北創価学会が「心の復興プロジェクト」を開始しました。その中で、創価学会音楽隊が「希望の絆」コンサートを実施。全国各地の被災地にも展開して180回余り公演し、のべ7万5千人の方々に、音楽を通じた励ましのメッセージを届けてきました。また被災地の小中学校へ図書贈呈を継続しています。
図書贈呈

2017年3月には、創価学会の震災対応、防災・減災への取り組みなどを紹介し、さらに全国・全世界から届けられた励ましの品々を展示する「東北福光みらい館」が、仙台市内にオープンしました。

2018年の大阪北部地震、西日本豪雨、北海道地震、2019年の台風15号・19号、2020年の令和2年7月豪雨、2022年の東北での豪雨災害においても、それぞれ災害対策本部を設置し、清掃ボランティア活動等を行っています。

その他、災害からの教訓を風化させることなく未来へと伝え残しゆくため、学会青年部が中心となり、意識調査やシンポジウム、オンライン証言会等の活動を継続しています。

災害救援・復興支援関連の国際連携
災害の頻度や規模が世界的に増大する傾向にある昨今、「信仰を基盤とした組織(FBO)」の役割にも注目が集まるようになっています。

創価学会は、宗教者災害支援連絡会や防災・減災日本CSOネットワーク(JCC-DRR)などのネットワークに参加し、他団体との協議を推進しています。 SGIは、「持続可能な開発に関するアジア太平洋宗教連合(APFC)」や「信仰と地域コミュニティに関する合同学習イニシアチブ(JLI)」に参加し、関連する国際会議において、社会全体としての災害対応力等を向上させるため、FBOの役割に関する議論に参加しています。

2018年7月にはモンゴルで開催された「アジア防災閣僚会議」に参加し、サイドイベントや共同声明などにおいて、FBOは行政等の役割を補完しうると訴えました。8月にはAPFCが東京で円卓会議を開催し、SGIはその運営を担いました。
世界の難民問題への対応
これまで、長年にわたって、日本国内での意識啓発のため、世界各地の難民の子どもたちが描いた絵画を紹介する展示会や、難民映画の上映会などを開催し、また国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への寄付を実施しています。2022年のウクライナ難民・避難民の発生を受け、同年3月には同事務所のほか、ウクライナ国内や周辺国で活動する国連世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)、および日本国内のNGOへの寄付を実施しました。

また2021年からは、音楽教育を通じて平和構築を目指すNGO「国境なき音楽家」と共同で、ヨルダンに暮らす難民および地域の子どもや若者のための音楽教育プロジェクト「音楽が私たちをつなぐ」を実施しています。「支援する側」の育成を目指し、音楽や教育に携わる約75名に研修を実施。実習としてヨルダン各地で実施した音楽講座には、これまで1000名以上の子どもたちが参加しました。同国内では希有の、音楽教育に特化したプロジェクトとなっています。
平和・文化・教育