教育力の復権へ——
内なる「精神性」の輝きを

2001年1月9日

画像:オーストリア・ウィーン市立公園で、池田先生が未来部のメンバーを激励(1992年6月)
オーストリア・ウィーン市立公園で、池田先生が未来部のメンバーを激励(1992年6月)
21世紀の開幕を記念して、池田大作先生は「教育力の復権へ——内なる『精神性』の輝きを」と題する提言を発表した。

2000年9月に行った提言(「『教育のための社会』目指して」)に続き、「子どもたちの幸福」の観点から21世紀の教育を展望する今回の提言では、多くの子どもたちを苦しめている「いじめ」や「暴力」の問題を取り上げ、学校と社会の教育力を回復するための方途が論じられている。

提言ではまず、問題解決のためには制度的な環境整備を進めるとともに、“いじめや暴力は絶対に許さない”との気風を社会で確立することが欠かせないと強調。その上で問題の背景として、社会で顕著に見られるモラル・ハザード(倫理の欠如)と、それにともなう悪への「無関心」と「シニシズム(冷笑主義)」の蔓延(まんえん)を指摘。「他者」不在の病理にひそむ危険性に言及しながら、人間と人間を結びつける普遍的な共感性を養う教育の必要性を訴えている。

さらに、現代の教育の危機を克服する道は、伝統や習慣に頼る教育ではなく、子どもたちの可能性を開く「生きた価値」を基軸とした教育にあると強調。戦前に回帰するような宗教教育の実施を求める復古主義的な動きに対し、警鐘(けいしょう)を鳴らしている。

その一方で、人間がよりよく生きるための内発的な精神性や宗教性を涵養(かんよう)する「人間教育」の重要性を訴えるとともに、具体的方法として、古典や名作に親しむ機会を増やし、「読書を通じた人格形成」をその柱の一つに据えることを提唱。

最後に、創価学会教育部による「教育相談室」等の取り組みを紹介しつつ、悩みを抱える子どもや親を孤立させないために、気軽に安心して相談できる場を地域に積極的に設けていくことが必要であると述べている。

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