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袴田巖さんのドキュメンタリー映画『拳と祈り』監督インタビューから考える、死刑制度と人権の今

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このほど、創価学会平和委員会とアムネスティ・インターナショナル日本が、ドキュメンタリー映画『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』笠井千晶監督のインタビュー映像を共同で制作し、公開しました。

強盗殺人事件の犯人とされ、死刑が確定しながらも、2024年の再審で無罪となり、検察が上訴権を放棄したことで判決が確定した袴田巖(いわお)さん。

本動画では、袴田さんと姉・ひで子さんの半生を追ったドキュメンタリー映画『拳と祈り ―袴田巖の生涯―』の監督・笠井千晶氏にお話を伺いました。

22年にわたり袴田さんきょうだいを見つめ続けてきた笠井監督が、映画に込めた思いや、袴田さんの人生と向き合う中で感じてきたことを語っていただきました。

 

袴田さんの半生、そして無罪確定までの長い道のりは、現在の死刑制度のあり方に重い問いを投げかけています。ここからは、本ドキュメンタリーの背景にも通じる死刑制度と人権をめぐる現状について解説します。

死刑制度をめぐる世界の潮流

近年、死刑制度を廃止する国が増加しています。

しかしながら、2024年は一部の国で執行が増加し、国際人権機関が強い懸念を示す一年となりました。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、世界全体では死刑廃止の流れが続いている一方、少数の死刑存置国において執行が急増していることに警鐘を鳴らしています。

  

国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」も、2024年の執行数が少なくとも1,518件に上り、2015年以来の高水準であったと報告しています。(最新の死刑統計2024: アムネスティ日本)

  

もっとも、国家数で見ると廃止は着実に進んでいます。同団体によれば、2024年時点で113か国が法的に完全廃止、145か国が法律上または事実上死刑を廃止しており、死刑執行が確認された国は15か国にとどまりました。


国連も、すべての死刑存置国に対し、死刑制度の廃止を視野に入れた「死刑制度の停止」(モラトリアム)を確立するよう求めています。

日本の現状

  

日本では、2024年10月に実施された内閣府の「基本的法制度に関する世論調査」で、死刑制度を「やむを得ない」とする人が83.1%に上りました。この高い支持率が、制度存続の大きな背景となっています。


一方で、国際人権団体や日本弁護士連合会(日弁連)は、日本の死刑制度に対して強い懸念を表明しています。特に、執行の通知が直前まで行われないことや、家族への連絡が執行後になることなど、「秘密性」が制度を一層残酷なものにしていると指摘しています。

  

日弁連は2025年12月、死刑制度の廃止と、廃止までの間の執行停止を求める要請書を法務大臣に提出しました。(日本弁護士連合会:「死刑制度の廃止等を求める要請書」)

  

また、日本における死刑をめぐる議論を深めているのが、えん罪の事例です。2024年には袴田巖さんの再審無罪が確定し、死刑判決を受けた人が長年にわたり誤判の危険にさらされる可能性が浮き彫りになりました。さらに、2025年6月には、2022年以来となる日本での死刑執行が行われ、国際社会からは生命に対する重大な侵害であるとして、強い懸念の声が相次ぎました。(関連する国際機関・団体の声明)


今、日本の死刑制度は、世論の支持と国際人権の要請とのはざまで、そのあり方や存続の是非が強く問われています。

今、わたしたちに問われていること

30歳で逮捕されてから47年超もの間、袴田さんが奪われた時間は決して戻ることはありません。あらゆる人のかけがえのない生命が守られる社会のために、真に必要なことは何なのか。袴田さんの歩みは、その問いを私たち一人ひとりに投げかけています。

  

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本記事に関してのご意見・ご感想は、創価学会インタナショナル(SGI)平和センター【contact@peacesgi.org】までお寄せください。

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています。

●目標16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。