平和をめざして

核兵器の廃絶、軍縮に向け
連帯を拡大

創価学会・SGIの核兵器廃絶運動

草の根の意識啓発運動
創価学会・SGI(創価学会インタナショナル)は、長年、池田大作先生のリーダーシップのもと、次代を担う青年の熱と力を推進力に、対話を中心とした草の根の核兵器廃絶運動に取り組んできました。
原点——三代会長の平和闘争と師弟の精神
核兵器の廃絶は、創価学会の社会的使命です。
その原点は、1957年9月8日、第2代会長・戸田城聖先生が、核兵器は人類の「生存の権利」を脅かすものと断じられた「原水爆禁止宣言」にあります。それは、第2次世界大戦中、軍部政府の弾圧に屈せず、平和と人権のために信念を貫き通し、獄中で殉教された初代会長・牧口常三郎先生の遺志を継いだ宣言でした。

「原水爆禁止宣言」全文

その思想性を継承し、核兵器を「絶対悪」と訴え、恒久平和への命がけの行動を貫いてきたのが、第3代会長・池田大作先生です。
三代の会長の平和闘争に連なり、仏法の生命尊厳観を基調に、国内外で反核展示やシンポジウムの開催、また署名活動、被爆証言集の発刊等を推進してきました。
国際社会での取り組み
SGIは、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の国際パートナーとして、核兵器廃絶に向けた取り組みにおいて協働してきました。
2021年1月に発効した「核兵器禁止条約」の成立過程においても、国連での交渉会議をはじめ、核兵器問題に関する各種国際会議に、市民社会の一員としてICANとともに議論に参画。条約の採択と発効に向けて尽力しました。
また数多くのNGOやFBO(信仰を基盤とする団体)等と協力して核兵器廃絶運動を推進しています。

近年の主な取り組み

  • ▼ 目次
池田大作先生が「核兵器の先制不使用」等を巡る緊急提言を発表
冷戦以来、核兵器使用のリスクが最も高まる国際情勢の中、2022年7月、池田大作先生は、第10回核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議(同年8月開催)に寄せて緊急提案を発表。同提案の中で、核兵器国が核兵器の先制不使用の原則を明確に誓約し、全ての核保有国や核依存国の安全保障政策として、先制不使用の原則の普遍化を目指すよう提唱しました。また、2023年1月には、ウクライナを巡る危機の早期終結と核兵器の使用を防止するための措置を求めて、「平和の回復へ歴史創造力の結集を」と題する緊急提言を発表。前年の緊急提案に続けて、核兵器の先制不使用の原則の確立を再度呼びかけ、人類の未来を開く核軍縮を進めるための行動の連帯を訴えました。
各緊急提言はこちら
「核兵器禁止条約」が発効 原田会長が談話を発表
史上初めて核兵器を全面的に禁止する「核兵器禁止条約」が、2021年1月22日に発効しました(条約が国際法として正式に効力を持つこと)。

この条約は、2017年7月に国連本部で採択され、核兵器を、開発、製造から保有、使用に至るまで、いかなる例外もなく全面的に禁止する初めての国際法です。

発効に寄せて、原田会長が談話を発表しました。

原田会長は、条約の発効を歓迎するとともに、核兵器の禁止と廃絶は創価学会の社会的使命であると主張。

「唯一の戦争被爆国である日本が、自らも核兵器禁止条約を批准できうる状況をつくることを視野に締約国会議にオブザーバーとして参加すること」を念願しました。

そして、条約が発効した今こそ、三代会長の信念の闘争を受け継ぎ、一人一人の心の中に「平和の砦」を築く対話と行動で、「核兵器なき世界」を求める民衆の連帯を、一層大きく広げていきたいと呼びかけました。
「核兵器禁止条約の発効」に関する
デジタルツール
スライドストーリー
ハンドブック
ツールに関するご意見・ご感想をお聞かせください。
「核兵器禁止条約」関連ツールについて
2021年1月22日、「核兵器禁止条約」が発効し、今後は、その実効性を高めるために、条約の意義を広く普及していくことが課題です。
SGIは、核兵器禁止条約の意義をわかりやすく紹介するツールとして、スライドストーリーを、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と共同制作しました。
SGIはまた、条約の概要と意義、条約制定までの経緯のほか、今後の展望などをコンパクトにまとめたハンドブックを制作しました。
※このツールを掲載した核兵器禁止条約について紹介する特設ページも開設
「核兵器禁止条約」とは?

また同条約の発効に合わせて、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が、番組「核兵器なき未来へ」(創価学会提供)を制作。日赤長崎原爆病院の朝長万左男名誉院長、ICANのベアトリス・フィン事務局長(当時)らへのインタビューが紹介されています。
※この映像はこちらから視聴可能です
軍縮問題(核兵器含む)に関する
各種国際会議で議論に参画
核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議
2022年6月、オーストリア・ウィーンで開催された、核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議、ならびに同会議に先立ち開催された、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)主催の市民社会フォーラム、オーストリア政府主催の第4回核兵器の人道的影響に関する国際会議にSGIの代表が参加。締約国会議において、米ペース大学国際軍縮研究所と共同執筆した、平和・軍縮教育に関する作業文書を提出しました。同文書は、国連文書「TPNW/MSP/2022/NGO/32」として、国連のウェブサイトに掲載されています。
また、核実験被害国のカザフスタン共和国、キリバス共和国、核時代平和財団等と、核被害者の援助などを巡る関連行事を共催しました。
本会議と並行して行われたユース締約国会議には、各国の青年部代表も参加し、イタリアの反核団体「センツァトミカ」と共に、「草の根の教育運動」をテーマに、ワークショップを行いました。
第10回核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議
2022年8月、ニューヨークの国連本部で開催された、第10回核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議に寄せて、池田先生は、核兵器の先制不使用の誓約などを求める緊急提案を発表。本会議にはSGIの代表も参加し、カザフスタン共和国国連代表部、米シンクタンクの軍備管理協会等と、「核戦争を回避するために―短期的に何ができるか」と題した関連行事を共催。核兵器の先制不使用の有効性等を巡り活発な議論が交わされました。また、グスタボ・スラウビネン議長(アルゼンチン大使)と会見。スラウビネン議長は、核軍縮のプロセスを進めるために、現下の核兵器が使用されるリスクを削減するための措置を取ることが重要であると強調しました。
国連総会第1委員会
2022年10月、ニューヨークの国連本部で開催された、国連総会第1委員会において、市民社会による発言の場がもたれ、SGIは、人道的軍縮、青年の参画と平和、軍縮・不拡散教育に関する共同声明にそれぞれ署名。本委員会にはSGIの代表も参加し、キリバス共和国国連代表部、マレーシア国連代表部、ICAN等と、軍縮教育に関する関連行事を共催。軍縮教育や青年の参画の重要性などについて議論が交わされました。
核兵器を憂慮する
信仰者のコミュニティー
SGIは、世界教会協議会(WCC)、宗教連合イニシアティブ(URI)などと共に、キリスト教、イスラム教、仏教等からなる「核兵器を憂慮する信仰者のコミュニティー」として、共同声明を発表してきました。
核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議
2022年6月、オーストリア・ウィーンで開催された、核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議において、会議の意義の重要性と核兵器廃絶を呼びかける共同声明を発表。144の信仰を基盤とした団体(FBO)が賛同し、同会議のアレクサンダー・クメント議長(オーストリア外務省軍縮局長)に手渡されました。
第10回核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議
2022年8月、ニューヨークの国連本部で開催された、NPT再検討会議において、人道的な観点から核兵器の廃絶を求める共同声明を発表。約100団体が賛同しました。また、「核なき世界への祈りの日」として開催された宗教間集会において、SGIの代表が同声明を紹介しました。

共同声明の発表は、2014年からこれまで15回を数えます。(2023年3月現在)
核兵器廃絶
国際キャンペーン(ICAN)との協力
2007年にICANが発足して以来、SGIはその国際パートナーとして、共通の目的である核兵器廃絶に向け協働。グローバルな意識啓発に向けた様々な取り組みや政策形成プロセスにおける取り組みを共に推進してきました。

ICANは110カ国に661のパートナー組織を有し(ICANアニュアルレポート2022)、国連の交渉会議において、核兵器禁止条約の実現に市民社会の側から重要な役割を果たしました。

その実績が評価され、2017年のノーベル平和賞を受賞。ノルウェーのオスロで行われた同授賞式に、SGIはICANの国際パートナーとして招請され、出席しました。

2018年1月には、ICANのベアトリス・フィン事務局長(当時)が、創価学会総本部を訪問。原田会長、池田主任副会長、笠貫SGI女性部長らが歓迎し、核兵器禁止条約の発効と意義の普及に向けた協力について協議しました。
「核兵器なき世界への連帯」展
人道、環境、ジェンダーなど
12の視点から問い直す
ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の協力を得てSGIが制作した「核兵器なき世界への連帯」展は、核兵器の問題を人道、環境、ジェンダーなど12の視点から問い直し、その廃絶に向けた連帯を訴えています。

この展示会は、2012年8月、広島での核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会で初公開。以来、ジュネーブの国連欧州本部をはじめ、ワシントン、長崎、沖縄など世界21カ国90都市以上で開催してきました。(2023年3月現在)
2022年は、ドイツ、カザフスタン共和国、メキシコをはじめ、国内では宮崎・宮崎市、群馬・渋川市、大阪・枚方市で順次、開催しました。

カザフスタン共和国では2019年に続き、2回目となる同展の開催となり、開幕式には同国外務省国際安全保障局のアルマン・バイスアノフ副局長が挨拶。また旧セミパラチンスク核実験場に程近い、サルジャル村で暮らすボラトベク・バルタベク氏が登壇し、核実験の環境面、健康面の被害状況を報告しました。

メキシコ創価学会は、戸田城聖先生の「原水爆禁止宣言」発表65周年に当たる9月8日に、グアナファト大学で同展の開幕式を開催しました。
核兵器とSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした議論を推進
2022年5月、核兵器禁止条約第1回締約国会議(同年6月)に向け、「SDGsオンラインシネマシリーズ」の第8回として、ドキュメンタリー映画「ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに」の上映会をオンラインで開催。上映後には、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授が講演し、核兵器禁止条約の意義と条約発効までの歩みについて解説。核兵器に対する世界の常識を変えていく必要性について言及しました。また核保有国による島嶼国などでの核実験が生態系や環境に甚大な被害を与えていることを指摘。参加者からは「まずは周りの人に、今日の映画や講演の話をしたり、意見交換をしたり、行動を起こす勇気を出していきます」等の声が寄せられました。

同行事は、SDGsの目標16(平和と公正をすべての人に)をはじめ、目標14(海の豊かさを守ろう)」や目標15(陸の豊かさも守ろう)等に関わる内容となりました。
「ヒバクシャ国際署名」に協力
2016年3月、「ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャが訴える核兵器廃絶国際署名」が開始されました。
この署名は、平均年齢80歳を超える被爆者の訴えを受けたもの。核兵器を禁止し、その廃絶を求める国内外の幅広い個人・団体が参加しました。

2016年7月、署名推進のための連絡会が設置され、創価学会平和委員会も参加。以来、積極的な協力を続け、これまで青年部や女性平和委員会等が推進した署名は、全国で40万2301筆にのぼりました。
(オンライン署名数と広島県推進連絡会・長崎原爆被災者協議会への寄託分21万6328筆は除く)
これらの署名は2021年1月に国連に提出されました。
自律型兵器(キラーロボット)の危険性などの問題に倫理面から警鐘
自律型兵器の法規制を訴える映画制作を支援
SGIも参加する国際ネットワーク「ストップ・キラーロボット」が、短編ドキュメンタリー映画「インモラル・コード」を制作。(2022年5月、イギリス・ロンドン市内で発表)
本映画は、人間の生死の判断を機械に委ねることは倫理に反するとの問題を提起する内容で、SGIも制作に携わりました。
自律型兵器問題への意識啓発を推進
創価学会平和委員会は2022年10月に、「SDGsオンラインシネマシリーズ」の一環として、国内においては初めてとなる「インモラル・コード」の上映会を開催しました。上映後、特定非営利活動法人「難民を助ける会(AAR Japan)」でプログラムコーディネーターを務める、櫻井佑樹氏が講演。櫻井氏は、「法律」「安全保障」「人間による兵器システムの制御」「ジェンダーとバイアス」「交差性と人種差別」の観点から、キラーロボットがもたらしうる課題、倫理的な問題等について解説し、信仰を基盤とした団体(FBO)による倫理面からの国際議論への貢献に期待を寄せました。
自律型兵器を巡る国際会議での議論に参画
2023年2月、コスタリカ・サンホセで開催された、同国政府主催の自律型兵器の社会的・人道的影響に関するラテンアメリカ・カリブ海地域の政府間会議、ならびに同会議に先立ち開催された、「ストップ・キラーロボット」主催の「デジタルによる非人間化」に関する問題をテーマにした会議に、SGIの代表が参加しました。政府間会議での市民社会の代表による意見表明の場において発言し、仏法の人間尊厳の思想に基づき、生と死の問題を機械に委ねることは看過できるものではないと述べ、規制に向けた国際条約の交渉開始を呼びかけました。
平和・文化・教育