震災の教訓を忘れないーー東北学生震災意識調査とシンポジウム

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東日本大震災から10年が経とうとしています。震災を機に、自分の生き方などを見直したという人も少なくないのではと思います。まして当時の学生、なかんずく被災地の学生は、通常の授業もままならなくなる中、「何のために学ぶのか?」といった問題をリアルにつきつけられることになりました。

学生の意識のそのような変化は、社会全体の動向にも影響を与えると考えられます。そうした問題意識から、創価学会東北学生部では震災に関する学生意識調査の第1回を震災の年の秋に実施。以来2020年に至るまで継続しています。

2020年は、9月から11月にかけて296名の学生を対象に実施しました。多くの学生が「復興は進んでいる」と感じており、また全体の約6割が、日常の中で震災をあまり思い出さないととらえていることがわかりました。

過去5回の調査と比較しても、震災に対する意識が徐々に薄れ、震災を“自分事”として捉えることが難しくなっていることが明らかになりました。一方で、一人ひとりが「命の尊さや儚さ」、「正しい情報を得ること、そして発信することの大切さ」など、被災体験から多くの教訓を得ているということも明らかになりました。

同年12月13日には、こうした結果を発表するシンポジウム「東北学生ミーティング」を、「震災の教訓から持続可能な社会を考える」をテーマに仙台市内で開催しました。

第6回 東北学生ミーティング(2020年12月13日)
第6回 東北学生ミーティング(2020年12月13日)

調査結果の発表に続いて、東北大学の学生の代表が「震災とSDGs」と題し、震災と持続可能な開発目標(SDGs)との密接な関係について発表しました。特に、復興の取り組みと、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」や目標14「海の豊かさを守ろう」などが大きく関わっていることを、具体例を挙げて紹介。また、震災後の持続可能な社会づくりのための1つの指針として、2015年の国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」を紹介し、同枠組がSDGs達成において果たす役割などについて述べました。

また仙台ユネスコ協会の見上一幸会長が講評を行いました。

参加者からは、「復興もSDGsも自分事として取り組む決意ができた」などの、持続可能な社会づくりに向けた前進の決意の声が寄せられました。東北学生部では記憶や教訓を継承するこうした努力を、今後も継続する予定です。

>>学生震災意識調査報告はコチラ(PDF、529KB)

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています

●目標11. 住み続けられるまちづくりを
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

●ターゲット11.5
2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす
●ターゲット11.b
2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う