「法華経写本」と創価学会

公開日:

創価学会では、1994年1月、「法華経写本シリーズ」出版委員会を発足し、公益財団法人東洋哲学研究所にサンクスクリット語(梵語)などの法華経写本の研究・編集の実務を委託しました。同研究所が法華経写本を所蔵する世界の研究機関や研究者の協力を得て研究・編集した成果を、創価学会「法華経写本シリーズ」として刊行しています。

これは、各国に保存されている貴重な法華経写本をカラー写真で撮影した「写真版」、写本の“読み”をローマ字表記にした「ローマ字版」として公刊する事業で、1997年の「旅順博物館所蔵梵文法華経断簡――写真版及びローマ字版」の発刊以降、これまでに19点(すべて非売品、下記に一覧掲載)を刊行しています。

法華経をはじめ、仏教学の研究においては、「写本」を正確に読むことが基礎となります。また、これら写本の比較・対照は、法華経の成立と伝播の系譜、法華経の教理・真意等を解明するために重要な研究になります。

しかし、貴重な法華経写本は、各国・各研究機関で大切に保管されており、直接目にすることは難しいです。さらに、写本は種々の文字で記され、文法も多様で解読には高度な専門的知識が必要となります。そこで、仏教研究の進展のために、実物と同じ学術的価値を持つ写真版と、ローマ字版を出版してきました。「法華経写本シリーズ」の刊行は、今後の梵文法華経写本研究の基礎資料を提供したといえます。

この「法華経写本シリーズ」の刊行と合わせて、世界各地で法華経を紹介する展示活動も推進しています。

法華経写本資料や仏教文物を紹介する「法華経―平和と共生のメッセージ」展(主催:東洋哲学研究所、創価学会・各国SGIなど)は、これまで、世界17ヵ国・地域で開催し、約90万人が鑑賞。海外では、インドをはじめ、韓国、イギリス、ブラジル、マレーシア、タイなどで開催。国内では東京、神戸、福岡、札幌で実施されています。

「法華経写本シリーズ」
 

シリーズ 法華経写本シリーズ名

1

旅順博物館所蔵 梵文法華経断簡写真版及びローマ字版

2-1

ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No. 421写真版

2-2

ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No. 421ローマ字版 1

2-3

ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No. 421ローマ字版 2

3

カーダリク出土 梵文法華経写本断簡

4

ケンブリッジ大学図書館所蔵 梵文法華経写本(Add. 1682 および Add. 1683写真版

5

東京大学総合図書館所蔵 梵文法華経写本(No.414ローマ字版

6

ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部所蔵 西夏文「妙法蓮華経」写真版(鳩摩羅什訳対照)

7

英国・アイルランド王立アジア協会所蔵 梵文法華経写本(No.6ローマ字版

8

パリ・アジア協会所蔵 梵文法華経写本(No.2ローマ字版

9

大英図書館所蔵 梵文法華経写本(Or. 2204写真版

10

ケンブリッジ大学図書館所蔵 梵文法華経写本(Add.1684)―ローマ字版

11

大英図書館所蔵 梵文法華経写本(Or. 2204ローマ字版

12

インド国立公文書館所蔵 ギルギット法華経写本写真版

13

ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所所蔵 梵文法華経写本(SI P/5他)写真版

14

コルカタ・アジア協会所蔵 梵文法華経写本(No. 4079)―ローマ字版

15

ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No.5144――ローマ字版

16

プリンストン大学図書館所蔵西夏文妙法蓮華経――写真版及びテキストの研究

17

ギルギット・ネパール系梵文法華経写本校訂本(C3校訂本)

創価学会とは