“「信仰を基盤とした組織(FBO)」は、独自の役割を果たす”――コロナ対応に関する研究レポートが発刊

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創価学会は新型コロナウイルス感染症の発生以来、日常のネットワークを生かして、一人一人に励ましを送り続けることや、医療関連情報を広めることなどに取り組んできました。

また外国では、会館をワクチン接種会場として提供した例などもあります。

一般に、宗教団体あるいは「信仰を基盤とした組織(FBO)」は、緊急事態に際し独自の役割を果たしているケースがあるといわれます。

今回のコロナ・パンデミックの発生から2年あまりが経った中、そうした役割についてのレポートが発刊されました。

そこでは、どういった役割が指摘されているのでしょうか。

日本の創価学会を含め世界の8団体が研究対象に

研究者とFBOの国際ネットワーク「信仰と地域コミュニティに関する合同学習イニシアチブ(JLI)」は、人道や開発などの分野での宗教、宗教組織、あるいは宗教指導者が担う独自の役割や課題について、研究を重ねてきました。

テーマによっては国連児童基金(ユニセフ)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などとも連携。

研究成果はそうした機関にとっての重要な資料にもなっています。

JLIは2021年春、FBOのコロナ・パンデミック対応に関する研究プロジェクトをスタート。

日本の創価学会を含め世界の8団体が研究対象になりました。

  

創価学会としては、聖教新聞の関連記事や青年部によるアンケートなどを資料として提供。

  

またオンラインでのインタビューに応える機会もありました。

  

<『若者とコロナ』アンケート調査結果(Save Lifeプロジェクトウェブサイトより)>

<『若者とコロナ』アンケート調査結果(Save Lifeプロジェクトウェブサイトより)>

「信仰を基盤とした組織(FBO)」が果たした役割と教訓

  

JLI2022年3月1日に発表したレポート(英語のみ)は、国際社会にとっての教訓を伝える目的で作成されました。

  

<【レポート】教訓:信仰に基づくCOVID-19対応(英語)

  

そのため、調査対象となった各団体の対応の善し悪しを論ずるものではありません。

個別の名称は出さずに、全体の傾向や、インタビューの中で目立った発言などを紹介しています。

要点としては、以下のようなものがあります。

  

●コロナ・パンデミックに際し、国連機関、行政、援助団体などがFBOとの連携を推進した。ただ、連携のしかたは必ずしも十分ではなく、課題も見られた。

 

●コロナ・パンデミック以前から築いていた他団体との協働関係、信頼関係が、コロナ禍で重要な役割を果たした一方で、新たなパートナーシップも生まれた。

 

●公的機関やメディアが発する情報への不信感や、誤情報の拡散が大きな課題となった。

例えば、世界保健機関(WHO)の発信が、すべての地域において効果的に届いているとは言い切れない。

その中で、誤情報の拡散防止のためには、地域で信頼を得ている宗教指導者の協力は重要な要素となった。

 

●今後の課題として、行政職員のFBOとの協働に対する意識を向上させるため、また地域の宗教リーダーや宗教コミュニティが知見を活かすための能力構築や、脆弱な人々への支援、平時からの分野横断的な連携などがあげられる。

 

●地域の宗教コミュニティと世俗の国際機関をつなぐ架け橋としてのFBOの役割について、認識を高める必要がある。

「孤立しがちな現代社会。信仰は共感力を育むことができる」

  

同日にはレポートを受けてのオンライン・セミナーが開催されました。

登壇したある専門家は、「創価学会をはじめ宗教団体が、医師などの専門家と適切に連携している場合、正確な情報を会員や信徒に伝え、誤情報の拡散防止に貢献できている。」

「一般に、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が豊かな国では、新型コロナ感染症による致死率が低い傾向がある。人々が孤立しがちな現代社会にあって、信仰は共感力を育むことができる。」と発言しました。

  

<創価学会青年部と医学者らによる会議をオンラインで中継>

  

新型コロナはいまだ猛威を奮っています。創価学会としては今後も引き続き、感染防止に努めるとともに、宗教組織としての特色を踏まえながら、社会全体としての対応力強化などにも尽力してまいります。

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています

●目標3.すべての人に健康と福祉を

  

●ターゲット3.3

2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

●ターゲット3.8

すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・ カバレッジ(UHC)を達成する。