フェリックス・ウンガー博士と池田大作先生の対談集『人間主義の旗を―寛容・慈悲・対話』

2018.12.06

「ヨーロッパ科学芸術アカデミー」の創立者であるフェリックス・ウンガ―博士と池田大作先生の対談集『人間主義の旗を―寛容・慈悲・対話』を紹介します。

『人間主義の旗を―寛容・慈悲・対話』 フェリックス・ウンガー 池田大作
『人間主義の旗を―寛容・慈悲・対話』(東洋哲学研究所)

  

ウンガー博士は、1946年、オーストリアのクラーゲンフルトで生まれました。

ウィーン大学医学部卒業後、同大学助手、インスブルック大学教授を経て、ザルツブルク病院心臓外科医長を務め、1990年、ヨーロッパ科学芸術アカデミーの創立とともに、創立者の一員として会長に就任。同アカデミーの心臓病調査研究所所長も務めました。

ウンガ―博士が1990年に創設した「ヨーロッパ科学芸術アカデミー」は、『寛容』をキーワードに宗教間対話などを推進する団体で、ヨーロッパをはじめ、北南米、中東、アジアなどの50を超える国々に学術ネットワークを広げています。世界に1200人の会員を擁する知性の集団として知られています。

博士がアカデミーを創設した動機は、人類の諸問題に立ち向かうため、さまざまな専門分野から一級の学者を選出し、「社会の持続性」「水資源の調達」などをテーマに研究やプロジェクトを世界で展開するというものです。

アカデミーの名誉評議員には、池田先生をはじめ、チェコのハヴェル元大統領、ゴルバチョフソ連元大統領などが名を連ねます。ウンガー博士によると、この団体の名誉評議員は「行動の人」に贈られるものです。

他者との出会いを「寛容」によって「融和と創造」へ

本書の中心テーマは一貫して『寛容』です。

池田先生は、他者との出会いを、非寛容によって「対立と破壊」という否定的なものにしてしまうのか、あるいは寛容によって「融和と創造」という肯定的なものにするのか、寛容・非寛容の問題は、実は人類の歴史とともにあるくらいに古いと説明しています。

さらに、世界が一つに結ばれつつある現代世界にあって、実際には共存・共生以外の選択肢は存在しないという理由から、「寛容」の徳目が極めて重要になると語っています。

ウンガー博士は、寛容は自己の殻を破り、他者と語る姿の中にあらわれるものと説明。寛容は他者に精神的に尽くす中にこそあるので、「共生の積極的な形」と指摘しています。

博士は、「寛容」を考える上で「宗教」は大事な要素であり、「宗教間の対話」こそが世界の平和と安定を開いていくとの考えを繰り返しています。

それぞれの宗教が互いに理解し合うことが「寛容」の第一段階に

池田先生は、「ヨーロッパ科学芸術アカデミー」が行ってきた「宗教間対話」の行動こそ、物質至上主義に応戦する尊い行動であると述べ、アカデミーがキリスト教と仏教の対話だけでなく、イスラム教やユダヤ教を加え、「4大宗教間対話」を展開していることを高く評価。
「それぞれの宗教が互いに理解し合うことが『寛容』の第一段階になる」と述べています。

アカデミーでは宗教間対話の精神を示すため、2002年に「寛容憲章」を発表。憲章ではあらゆる人びとが寛容を自らの義務としなければならないと規定しています。

池田先生は、「『寛容』こそ21世紀の根本課題」であると重ねて強調し、1995年に制定された「SGI憲章」でも寛容の精神を柱の一つとして位置づけた事実を紹介。アカデミーの「寛容憲章」と「SGI憲章」の2つの憲章は、「軌を一にしている」と評価しています。

「寛容」とは「他者との対話」であるとともに「自己との対話」

本書の対談は2001年9月に起きた米国への大規模テロ攻撃も踏まえてなされたものです。
博士がこうした劇的な展開を目の当たりにすると「寛容」の言葉が無力な印象を与えかねないと述べると、そんなときだからこそ、より一層、寛容の精神性を世界のすみずみに広めることが大事と池田先生は応じています。

さらに池田先生は「寛容とは、他者との対話であるとともに、自己との対話です。自分は偏見に囚われていないか、利害に囚われていないか、そう自分自身に不断に問いかけることです」と語っています。

憎悪や差別、またそれらを煽動する言動がめだつ昨今、「寛容」の理念とその実現に向けて語り合った対話は、差異を超えて生きることを余儀なくされる21世紀の読者に、貴重な示唆を与えてくれるはずです。

  

【対談者紹介】 フェリックス・ウンガー(Felix Unger)

1946年生まれ。医学博士(心臓外科)。オーストリア・ウィーン大学医学部卒業。ウィーン大学助手、インスブルック大学教授を経て、ザルツブルク病院心臓外科医長。

1990年、「ヨーロッパ科学芸術アカデミー」の創立とともに、創立者の一員として会長に就任。同アカデミーの心臓病調査研究所所長も務める。『心臓動脈手術ー1990年代の需要とニーズ』など著書多数。

ブダペスト大学、ティミショアラ大学の名誉医学博士、創価大学、マリボー大学、リガ大学の名誉博士でもある。

  

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