章開ゲン博士と池田大作先生の対談集『人間勝利の春秋-歴史と人生と教育を語る』

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中国を代表する歴史学者で華中師範大学元学長の、章開沅(しょうかいげん)博士と池田大作先生との対談集『人間勝利の春秋-歴史と人生と教育を語る』を紹介します。

章開沅博士と池田大作先生の対談集『人間勝利の春秋-歴史と人生と教育を語る』(第三文明社)
『人間勝利の春秋-歴史と人生と教育を語る』(第三文明社)

  

章博士は安徽省(あんきしょう)生まれ、金陵大学(現南京大学)で学び、華中師範大学(武漢)で教壇に立ち、その後学長の任にあたりました。

学長を退いた後は、米国プリンストン大学やカリフォルニア大学の客員教授などを歴任。2005年には華中師範大学に「池田大作研究所」を設立されました。
年齢は池田先生より1学年上の1926年生まれで、ほぼ同世代です。

中国の識者との対談はいくつかありますが、本書の特徴は、歴史学者が対談相手である点です。
そのため章博士は、自身も尊敬する歴史家であったイギリスのアーノルド・トインビー博士と池田先生が対談したことに注目し、1985年にトインビー対談を読み、感銘を受けたことを紹介しています。

さらに対談時、トインビー博士83歳、池田先生44歳と、池田先生の年齢が、博士の約半分であった事実などにも驚きの言葉を述べています。

「正しい歴史観」の上に平和の土台が築かれる

前半では歴史を学ぶ意義について語られ、「歴史に学ぼうとする精神がなければ、その繁栄ははかない」「正しい歴史観の上に平和の土台が築かれる」といった趣旨の言葉が述べられています。

日中間の歴史といえば、当然ながら、近代の不幸な戦争の時代が話題に上らざるをえません。

章博士の言葉によれば、「日清戦争以降、二千余年にわたった友好交流の歴史は終わりをつげた」、一方で「歴史を見るならば、中日両国はあくまでも友好が主流であり」、「近代における両国関係の悪化が続いたのは、半世紀にしかすぎない」とも指摘しています。

章博士は、池田先生の「軍国主義時代の歴史を真摯に認識してこそ、初めて21世紀における真の意味での日中友好を築くことができる」との言葉を引用しながら、その姿勢に敬意を表しています。

「謙虚な態度」こそ正しい教育のあり方

「歴史」とともに本書で語られるのは、ここでも、後を継ぐ青年世代への熱い期待の言葉です。

人間を育てるうえで何が最も大切とお考えですかとの池田先生の質問に、章博士は、簡潔に「学生に関心を寄せること」「学生たちに愛情を持つこと」22点を挙げ、これに対して池田先生は、「教育の真髄を語ってくださいました」と肯定的に評価。

さらに「自分と一緒に進もう、という謙虚な態度を持つことこそ正しい教育のあり方である」との牧口初代会長の言葉を引いて応じています。

新時代の「金の橋」を築きゆく青年たちへ

本書は21世紀に入って10年がすぎた2010年に発刊され、すでに対談の中では「22世紀」への展望すら語られています。

池田先生は「21世紀を創り、22世紀を開きゆく、大切な青年たちが、『賢者の道』を勇敢に朗らかに進むこと」にどこまでも期待を寄せています。

日中平和友好条約締結40周年、日中国交正常化提言50周年のこの時に、世界平和構築における日中関係の重要性、さらに両国友好の基盤となる正しい史観のあり方などについて言及された本書は、新時代の「金の橋」を築く青年世代にとって不可欠の書となると思います。

  

【対談者紹介】 章開沅(ショウ・カイゲン)

1926年7月8日、中国・安徽省蕪湖生まれ。本籍・浙江省呉興。歴史学者・華中師範大学元学長。

1948年、金陵大学(現・南京大学)歴史学部を中退し、中原解放区に入る。中原大学政治研究室の仕事に参加するとともに、在職研究生となり、1949年、中原大学の南下にともない武漢へ移転。1951年から華中師範学院(現・華中師範大学)歴史学部で教壇に立ち、1981年に歴史研究所に転じる。1984年から1990年まで同大学学長。プリンストン大学客員研究員、中南地区辛亥革命史研究会理事長などを歴任。

中国近代史、とくに辛亥革命史研究の第一人者。『辛亥革命史』『武昌蜂起』『鴻爪集』など、著書多数。

  

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