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ブライアン・ウィルソン博士と池田大作先生の対談集『社会と宗教』

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イギリスの著名な宗教社会学者であるブライアン・ウィルソン博士と池田大作先生の対談集『社会と宗教』を紹介します。

ブライアン・ウィルソン 池田大作『社会と宗教』(聖教文庫)
『社会と宗教』(聖教文庫)

  

ウィルソン博士は新宗教運動の実証的研究の世界的権威です。

オックスフォード大学をはじめ数々の大学で教授等を歴任し、国際宗教社会学会の初代会長も務めた欧州を代表する知性です。

対談集は英語版が1984年秋に刊行され、日本語版は翌年に発刊されました。その後、フランス語、ポルトガル語、中国語、タイ語、スペイン語など、多くの言語で翻訳、出版されています。

本書は、「宗教」そのものをテーマに据え、宗教の社会的役割をメインに論じているのが特徴です。

章立てを見ると、「人間と宗教」「理性と責任」「組織論」「歴史からの展望」「健康・精神」「倫理観の拡大」の6つに分けられ、多彩なテーマで論じ合われています。

法を根本とする仏法と神を中心とするキリスト教

西欧の宗教社会学の専門家である博士と、東洋の仏法団体の指導者である池田先生との対話では、キリスト教および仏教について多く語られています。

仏教は法を根本とする宗教であるのに対し、キリスト教は創造主である神を中心とする宗教であるといった比較とともに、道徳律では相似たものをもっていることも語られます。

また科学の発達とキリスト教の歴史について、ウィルソン博士は、天動説・地動説の対立、進化論の定着など、科学がもたらした現実は聖書の教えを否定する結果になったことなどを説明しています。

一方、仏教が根本的に説いているのは、この世界がいつどのように創られたかといったことではなく、人間の心の世界を説いているため、科学とは対立しない関係にあったことが池田先生から説明されています。

宗教の役割は「人間性を豊かに深く強くすること」

ウィルソン博士は、信仰の有益な効果は一般的に十分に立証されており、「間違いなく、人間のより大いなる善に役立つもの」と語っています。

博士は「人間的な性向が抽き出される源泉は、宗教以外には存在しない」とも語り、池田先生も「宗教が果たすべき根本的な役割は、人間性を豊かに、かつ深く、強くすること」と明快に語っています。

本書の後半「健康・精神」では、臓器移植、遺伝子組み換え、安楽死など、本書発刊から30年以上すぎた今も今日的な社会問題となるテーマが論じ合われています。

宗教の社会的役割をめぐって様々な角度から語り合われた本書。
世界的に相互不信が渦巻く今日だからこそ、一人一人の善の心を呼び覚まし、平和を求める心をつなぐ宗教がますます求められます。

  

【対談者紹介】 ブライアン・ウィルソン(Bryan Wilson)

1926年、イギリスに生まれる。オックスフォード大学社会学名誉教授、オールソルーズ・カレッジ名誉研究員、元・国際宗教社会学会会長。

著書は『セクト-その宗教社会学』、『現代宗教の変容』など多数。

  

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