2024.10.03
もしも明日、自分に同じことが起こったら・・・かけがえのない家族、故郷を失うこと――「難民問題」を考える
公開日:
創価学会平和委員会主催 映画「ミッドナイト・トラベラー」オンライン上映会を通して
「難民」と聞くと、どのような人を思い浮かべますか?
ある日突然、住み慣れたところから、逃げなくてはいけなくなった・・・
もともと私たちと同じように、仕事や家庭をもち、かけがえのない暮らしがあった人々です。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2020年末時点で世界では8240万人、つまり95人に1人が故郷を追われており、その数は過去最多です。
そしてその多くは、女性と子ども、高齢者です。
逃れた先でも苦労は続きます。衣食住が満たされない、医療が受けられない、仕事に就けない、教育が受けられない、文化が異なる、悲惨な経験からのトラウマにさいなまれる、など。
その課題は短期的なものから長期的なものまで様々です。
2022年2月にはウクライナ危機が生じ、日本でもこうした難民・避難民への意識が高まっていますが、それを上回る数の難民・避難民が近年、シリア、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーなどで発生しており、しかも多くの人々の苦しみは何年も続いています。
※本記事は、2022年4月21日に開催された「第7回SDGsオンラインシネマシリーズ」(主催=創価学会平和委員会)の上映会・講演会の内容をもとに制作しています。
ある映像作家は・・・
その一人が、妻と二人の娘と暮らすハッサン・ファジリさん。
自身が制作したアフガニスタンの平和に関するドキュメンタリーが国営放送で放送されると、武装勢力タリバンはその内容に憤慨。
出演した男性を殺害し、監督を務めた彼にも死刑を宣告しました。
彼はやむなく出国。アフガニスタンからヨーロッパまで5600km。家族を守るために逃げる姿をスマートフォンで記録し続けました。
その映像は今、ドキュメンタリー映画「ミッドナイト・トラベラー」として結実し、大きな反響を呼んでいます。
2022年4月には、創価学会平和委員会が「SDGsオンラインシネマシリーズ」の第7回として同作品を上映しました。
あるフルート奏者の青年は・・・
その上映会にビデオメッセージを寄せてくれたのが、21歳のジャムシッド・ムラディーさんです。
ムラディーさんはフルート奏者として、2019年までアフガニスタン国内外で活躍。
しかし音楽活動を禁止するタリバンからの迫害を受け、避難を強いられました。通っていた音楽院の卒業も断念。
外国への移住を希望し助けを求めるも支援を得られなかったため、同国内で避難し、写真店で働きました。
ところが、タリバンがその地域に近づいてきているとの話が出てきたため、母、妹と3人で、困難な中でイランのビザを取得し、同国へ移動。そこでは工場で働く大変な日々を送りました。
しかしビザ延長が許可されず、再び住む場所を探さなくてはならなくなりました。
そんな中、友人が力を貸してくれ、日本で避難民を支援している方を紹介してくれ、2021年11月、日本への移住を決断しました。
ビデオメッセージの中でムラディーさんは語っています。
――私たちが日本に到着した際には、支援者の方々が笑顔で迎えてくれ、助けてくださいました。日本での生活には日本語が必要不可欠なため、現在、妹と私は、日本語学校に通っています。現在仕事がないため、仕事探しも進めています。
――家族のためにも、必要なものがすべてそろった、美しい未来を実現していきたいです。
その未来の実現のため、日本の皆さんのお力をお貸しいただけましたら幸いです。これから、私自身のため、また社会のために、より良い人間へと成長できるよう願っています。
ムラディーさんは現在、日本政府発行の短期滞在ビザを更新しながら滞在されており、難民としての認定を申請中です。
承認されれば、健康保険の加入資格を得たり、必要に応じて福祉支援を受けたりすることもできますが、日本は他の多くの先進国に比べて難民の認定率が低く、審査期間も長期に及ぶという現状があります。
音楽を通して希望を
創価学会では長年、UNHCRの活動を支援してきましたが、2021年1月からは、難民とその受け入れ国の子どもたちのための活動を始めました。
多くのシリア難民が流入したヨルダンの地で、音楽を通して希望を送り、困難を乗り越える力を育むための教育を推進しようと、オランダのNGO「国境なき音楽家」と共同してプロジェクトを進めています。
現地で音楽教育を行う人々を育成しながら、子どもたちのための夏季音楽講座を各地で開催してきました。
知ることからはじまる
難民問題は遠い世界で起こっていることと思われがちです。
しかし、この問題について学ぶことは、人間の弱さと強さ、恐ろしさと素晴らしさを深く知ることに繋がります。
学ぶことが、自分の生き方を振り返り、変わるきっかけとなります。
自身の行動を変え、身近なところから、世界を変える一歩を踏み出していきましょう。
参加者の「マイアクション(私の行動)」
上映会では、参加者から、日常に取り入れていきたい「マイアクション(私の行動)」の声が寄せられました。その一部を紹介します。
◆難民問題について学んだことを周りの人と共有します。本当の幸せとは、それを実現するには、など語り合います。(40代女性)
◆目の前の人を受容し、開かれた対話をして、平和の心を広げていきたいです。(50代女性)
◆昨年よりUNHCRに寄付をしています。未来を担う子どもたちと語り合う時間をもっていきたい。(60代男性)
◆食べ物、衣服、電気、水など、ものを大切にすることに挑戦していきます。(50代女性)
まず行動の一歩として「知る」こと、そして、その「学び」を日常に取り入れ、自分の「行動」としていくこと――SDGsが掲げる「誰も置き去りにしない」世界へ、一人でも多くの方が「マイアクション」を起こすきっかけとしていただけるよう、本シリーズは今後も継続してまいります。
※今後の開催予定につきましては、随時、聖教新聞や、創価学会公式インスタグラム等で告知いたします。
本記事に関してのご意見・ご感想は、創価学会平和委員会【contact@peacesgi.org】までお寄せください。
また本記事について、ツイッターやインスタグラムで『#SDGsシネマ』『#希望と行動の種子』と付けて、ぜひ身近な方とご共有ください。
この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています
●目標1. 貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
●目標3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
●目標10.人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の不平等を是正する