2024.09.06
ルネ・シマー博士 / ギー・ブルジョ博士と池田大作先生のてい談集『健康と人生-生老病死を語る』
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池田大作先生が「20世紀から21世紀に向かう焦点の課題」とした「健康」について、ルネ・シマー博士 / ギー・ブルジョ博士と行ったてい談集『健康と人生-生老病死を語る』を紹介します。
対談相手はガン研究の世界的権威であるシマー博士と生命倫理の専門家であるブルジョ博士の二人。シマー博士はモントリオール大学の学長、ブルジョ博士は同大学の学部長を歴任しました。
モントリオール大学はカナダの代表的なフランス語系の総合大学で、大学院を含め13学部、5万人の学生を擁し、北南米でも最大規模を誇ります。
喜びや希望は免疫力を強めていく
冒頭、ガンとエイズがテーマに。ナポレオンも胃ガンで亡くなったとされていることも話題にしながら、がんは人類の出現とともにあった病気だったことが紹介されています。
さらにガンの種類は250ほどあり、発生原因についてはいまだ解明されていないものの、食生活や喫煙習慣が発がん原因の大半を占めていることが語られています。
また免疫力の強化がガンの発生を抑えることや、喜びや希望が、身体の働きを活性化し、ひいては免疫力を強めていくことなども語られています。
一方、エイズについてシマー博士は「21世紀にかけての最大の病気」ととらえ、「4つの感染経路」についてや、患者への差別をどのようにしてなくすかなどが語られます。
どこにも病気がないことが健康なのではない
次の章で、池田先生は、仏法は「生命の法」であり、「健康」「長寿」はそのまま仏法の根本課題であることを紹介します。
また、ブルジョ博士は健康の定義について、人間の歩行を例にとって説明。
一方の足を踏み出すときは身体のバランスを崩す危険性があるにもかかわらず、前方の足が均衡状態を再度確立するように働くことで歩行が成立することを説明し、「健康とは、崩れやすい均衡状態と、その均衡状態をいつも確立しておこうとする恒常的なダイナミズムとの間の緊張状態」と説明しています。
つまり、どこにも病気がないことが健康なのではないと、健康を動的にとらえており、この考え方に池田先生も共感しています。
仏法は「苦」を「楽」に転換する人生道を示す
池田先生は仏法的観点からの、病気が起こる「6つの原因」について説明。
ブルジョ博士は、医学は寿命を延ばすことには成功したが、生命に新しい活力を与えるところまでは行っていないと率直に述べています。
それを受けて池田先生は、仏法では人生には「生老病死」という4つの苦があること、さらに「愛するものと別れなければならない苦」「憎むものと会わなければならない苦」「求めても得られない苦」という3つの具体的な苦を合わせて「7つの苦」の存在を省察していることを紹介。
仏法は厳しい現実の直視から出発し、「苦」を「楽」に転換する人生道を指し示していることを説明しています。
その他、尊厳死についての意見や生命論、教育論など、多角的な語らいが広がっています。
「健康」についての様々な情報があふれる中、“真の健康”とは何かを思索する糧となる対談集です。
【てい談者紹介】 ルネ・シマー(Ren Simard)
1935年、カナダ・モントリオール生まれ。モントリオール大学で医学博士を取得。
パリ大学、シェルブルック大学教授を経てモントリオール大学ガン研究所所長、同大学長(1993年~1998年)。カナダ医学研究評議会議長、ガン研究国際センターの科学評議会議長など歴任。
主な著書に『カナダ-破壊か再生か-教育、科学、技術向上のケース』など。
【てい談者紹介】 ギー・ブルジョ(Guy Bourgeault)
1933年、カナダ・モントリオール生まれ。モントリオール大学で文学士、哲学修士、神学修士を取得。イタニア・グレゴリアナ大学で神学博士、倫理学博士を取得。
モントリオール大学生涯教育学部長、カナダ・ユネスコ協会会長など歴任。
主な著書に『倫理学、法学と健康工学』『生物医学の新技術に直面する倫理と法律』など。
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