2024.11.01
ドゥ・ウェイミン博士と池田大作先生の対談集『対話の文明-平和の希望哲学を語る』
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池田大作先生とハーバード大学の歴史哲学科の教授であり、儒教研究の世界的権威であるドゥ・ウェイミン博士との対談集『対話の文明-平和の希望哲学を語る』を紹介します。
ドゥ博士は中国生まれのアメリカ市民。9歳のときに台湾に渡り、10代をそこで過ごしたため、台湾を「第二の故郷」と語っています。その後、ハーバード大学へ留学し、米国で研究活動を続けてきました。
「対話」は文明間の衝突をなくすメカニズム
この対談集での重要な結論は、「対話」が文明間の矛盾や衝突をなくす重要なメカニズムであり、真の「対話」を成り立たせるための前提は、差異を称える心根にこそあると捉えていることです。
そして、その「対話」は必ずしも互いの「均一化」を目指すものではありません。異なる文化が自己の伝統性を保持しながら、普遍性を獲得していく「多様性の中の統一」を志向するものといいます。
孔子の「和して同ぜず(主体性を持って人と仲良くする)」の精神に当たるとも紹介されています。
共鳴する儒教の「大同思想」と仏教の「三草二木」
博士は儒教思想で耕された中国には、「大同思想」という“調和の精神”が脈打っていると指摘しています。そしてそれが世界にとっても有益な中国の伝統であると語ります。
「大同」とは、法令などによって律しなくとも、誰も争うことなく、皆が共に調和し親睦し合う平和の世界のこと。多様性を生かしつつ統合するための知恵であり、異なる他者を敵と見るのではなく、自分の鏡として見ていく発想とも述べています。
それに対し池田先生は、法華経の「三草二木」の譬えをひきつつ、調和しながら多様性を発揮する姿を紹介。ドゥ博士も「大同思想」と共鳴し合うと賛同しています。
共々に学び繁栄していく「文化対話主義」
さらに池田先生は、さまざまな文化を認めて併存するだけでは、自分たちの集団だけを絶対視する「排他主義」をなくすことはできないと強調。
人類は互いに敬い、学び合いながら共々に繁栄していく世界をめざす「文化対話主義」というべき新しい段階へ進みゆくべきことを提唱しています。
インドで生まれて北東アジアに定着した「仏教」と、中国の大地で育まれた「儒教」。2つの東洋思想が人類の危機を回避するためにいかに貢献できるかを学べる対談集です。
【対談者紹介】 ドゥ・ウェイミン(Tu Weiming)
1940年、中国雲南省生まれ。ハーバード大学で博士号を取得後、カリフォルニア大学バークレー校の歴史学教授、ハワイ東西センター文化・コミュニケーション研究所所長などを歴任。
現在、ハーバード大学中国歴史哲学科教授、同大学イェンチン(燕京)研究所所長を務める。
2001年、国連「文明間の対話年」にあたり、アナン事務総長が世界の各文明を代表する識者を招き、「賢人会議」を開いた折、儒教文明の代表として臨んでいる。
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