ウィックラマシンゲ博士と池田大作先生の対談集『「宇宙」と「人間」のロマンを語る』

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ウィックラマシンゲ博士と池田大作先生の対談集『「宇宙」と「人間」のロマンを語る』を紹介します。

本書は、スリランカ出身の天文学者・ウィックラマシンゲ博士と池田大作先生が編んだ、天文学と仏教の対話です。

上下2巻の構成で、上巻で宇宙と人間について、下巻で人間と生命と文明を中心に語らいが展開されます。

『「宇宙」と「人間」のロマンを語る』 ウィックラマシンゲ 池田大作
『「宇宙」と「人間」のロマンを語る』(聖教ワイド文庫)

  

スリランカの首都コロンボに生まれたウィックラマシンゲ博士は、著名な天文学者フレッド・ホイル博士を慕って渡英、ケンブリッジ大学で学びました。

池田先生とは、1988年夏、東京で初の出会いがあり、その後、東京や長野、ロンドン郊外で対談を重ねられます。

対談では、少年時代の星空への興味から始まり、地球外生物の存在の可能性や宇宙の調和とリズム、生命の誕生と進化、宇宙における人間の位置、地球生態系との共存など、幅広いテーマについて論じあっています。

現代の科学思想とも調和する仏教の宇宙観

博士は10代の若さでホイル博士に師事し、多くの研究を共同発表。師匠のホイル氏の信念は、仏教と一致するものであることも述べています。

ウィックラマシンゲ博士は「仏教の宇宙観は、人類の思想史上、たいへん早い時代にあらわれたという意味で目を見張るものがある」と語りつつ、「仏教の宇宙観は、最も現代的な科学思想ともみごとに調和する」と仏教と現代科学の融合性を高く評価しています。

池田先生も、仏教の創始者である釈尊は、「宇宙それ自体を生みだしていくような根源の生命を、自身の内奥に覚知した」と語り、内なるコスモスと外なるコスモスが密接に関わり合っていることを指摘しています。

21世紀に求められる「宇宙的な視点」と「仏教の価値観」の結びつき

また、宇宙を人間中心にとらえ、自然を征服の対象ととらえてきた西洋文明の限界が指摘された上で、自然との共生を説く仏教の価値観こそがいま求められていると語られます。

博士はあとがきで、「新しい宇宙的な視点と古来尊重されてきた仏教の価値観――あらゆる生き物をいつくしむ慈悲の価値観――が結びついたとき、それが21世紀に完全に適合した世界観になる」と締め括ります。

「宇宙」という真理・科学を通して浮かび上がる仏教哲学の先見性に感動する対談集です。

  

【対談者紹介】 チャンドラ・ウィックラマシンゲ(Chandra Wickramasinghe)

1939年、スリランカの首都コロンボに生まれる。コロンボ大学(当時のセイロン大学)、イギリスのケンブリッジ大学数学部卒業。文学修士、哲学博士(Ph. D)、理学博士。

ケンブリッジ大学ジーザス・カレッジの研究員、同特別研究員、ウェールズ大学カーディフ・カレッジの応用数学・天文学科の教授・学科長を務める。一方、セイロン大学、アメリカのメリーランド大学およびアリゾナ大学、京都大学の客員教授。国連開発計画(UNDP)顧問、スリランカ大統領の科学顧問、スリランカの基礎科学研究所所長などを歴任。

「ヴィドヤ・ジョディ」(スリランカの国家栄誉賞)、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジから「パウェル英詩賞」を受章。また「ダグ・ハマーショルド科学賞」をホイル博士と共同受賞。

主な著書に『星間飛行』『微粒子の光拡散機能と天文学への応用』『宇宙実験室』ほか多数。



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