チョウドリ博士と池田大作先生の対談集『新しき地球社会の創造へ-平和の文化と国連を語る』

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国際の平和と安全のための機関である国連で長年働き、事務次長として最貧国支援のために尽力したバングラデシュ出身のアンワルル・K・チョウドリ博士と池田大作先生の対談集『新しき地球社会の創造へ-平和の文化と国連を語る』を紹介します。

新しき地球社会の創造へ_アンワルル・K・チョウドリ_池田大作
『新しき地球社会の創造へ-平和の文化と国連を語る』(潮出版社)

  

本書の主なテーマは、チョウドリ博士が国連内で長年主導してきた「平和の文化」構築への取り組みをはじめ、世界市民教育の必要性、国連の重要性などについてです。

池田先生は国連の有効性や改革について発言してこられた「人類のリーダー」

二人の出会いは2003年3月。チョウドリ博士が日本の創価大学・創価女子短期大学の卒業式に出席し、卒業の祝辞を述べた際、初めて池田会長と懇談しました。

博士は率直で飾らない対話を通して、「池田会長がなぜこれほど多くの世界中の人々に慕われ、尊敬されるのか、そして、なぜこれほどまで平和と人類の幸福のために、人生を捧げてこられたのかを理解することができた」と語っています。

チョウドリ博士が池田先生に最初に関心を持ったのは、先生の詩作でした。

さらに池田先生が撮影した写真を見て関心が深まったといいます。チョウドリ博士は「これほど美しい表現力をもち、私たちを触発し、勇気づけてくれるのは、真に素晴らしい人物だけだと確信していた」と本書で語っています。

加えて、1983年以来毎年1月に池田先生が発表してきた平和提言について、「池田会長は国連の有効性や改革の必要性について、25年以上にわたって実質的な発言をしてこられた世界で唯一の方」と評価し、「人類のリーダー」と形容しています。

「平和の文化」とは単に「戦争がない状態」ではない

チョウドリ博士はパキスタン政府の外交官でしたが、バングラデシュがパキスタンから独立すると、同国新政府の外交官として国連加盟が認められるようニューヨークで奔走しました。

国連では1990年から3年間、ユニセフの駐日代表を務めており、日本にも多くの知己を持ちます。

また安全保障理事会議長、国連児童基金(ユニセフ)執行理事会議長などの要職を歴任し、2002年に国連のナンバー2である事務次長に就任。

同時に「後発開発途上国ならびに内陸開発途上国、小島嶼開発途上国のための高等代表事務所」の初代高等代表に就き、国連加盟国の半数近くを占める90カ国の途上国支援のために奔走しました。

チョウドリ博士が一貫して提唱し、推進してきた理念が「平和の文化」です。「平和の文化」は、単に「戦争がない状態」の「平和」のみでなく、差別や貧困、暴力、環境破壊などの「さまざまな構造的暴力」を否定する考え方となります。

本書では、国連総会が博士の提案に基づいて1997年に「平和の文化」を独立した議題として取り上げて以来、博士が国連において「平和の文化」を推進してきたことや、1999年にそのための行動計画が満場一致で採択されたことが明かされます。

「平和の文化」の決議文書は、すべての国家と国民に受け入れられた「唯一の文書」です。

「平和の文化」構築こそ人類史の最も重要な取り組み

さらに「平和の文化」構築のための取り組みが、いま人類史の中で最も重要な取り組みであることや、「平和の文化」構築を実現するために不可欠となる世界市民育成のための教育の必要性などが語られます。

そのためにチョウドリ博士は、世界中の教育機関で使用できる世界市民育成のための「標準教科書」を作成することも提案しています。

また、創価学会の女性平和委員会が「平和の文化」に関する展示会を全国で開催してきたことも高く評価しています。

世界に恒久平和をもたらすために必要な視点は何か――。二人の「平和の闘士」が、地球社会の未来を論じた貴重な対談集は、青年を始め多くの人に読んでほしい一書です。

  

【対談者紹介】 アンワルル・K・チョウドリ(Anwarul Karim Chowdhury)

元国連事務次長。1943年バングラデシュ・ダッカ生まれ。1996~2001年、バングラデシュ政府国連常駐代表を務める。在任中、安全保障理事会議長、国連児童基金(UNICEF)執行理事会議長、経済社会理事会副議長、総会第5委員会(行財政問題)議長を歴任。「平和の文化に関する宣言及び行動計画」をはじめ、1997~2001年に採択された「平和の文化」についての総会決議を導く。

2002年に国連の後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当高等代表(事務次長)に就任。2003年カザフスタンの内陸開発途上国閣僚会議、2005年モーリシャスの小島嶼開発途上国国際会議の事務総長を務めた。

ウ・タント平和賞、ユネスコ・平和の文化のためのガンジー金賞、第1回国連の精神賞など受賞。

  

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