高占祥氏と池田大作先生の対談集『地球を結ぶ文化力』

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池田大作先生と一緒に「周夫婦桜」を植樹した高占祥(こう・せんしょう)氏(中華文化促進会主席)との対談集『地球を結ぶ文化力』を紹介します。

『地球を結ぶ文化力』 高占祥 池田大作
地球を結ぶ文化力(潮出版社)

  

本書は日中国交正常化40周年記念として2012年に刊行されました。

対談相手の高占祥氏は中国の作家、詩人であり、中国文化部常務副部長(副大臣)などの要職を歴任。中国文化事業の発展に尽力しています。

池田先生との出会いは1979年。当時、全青連(中華全国青年連合会)の副主席をつとめていた高氏は、中国青年代表団の団長として訪日しました。

創価大学を訪れた際、池田先生と初の出会いを結び、周恩来元総理と鄧穎超女史を記念する「周夫婦桜」の植樹式では池田先生と共に植樹を行いました。

「文化」が豊富であっても「文化力」に転換されなければ価値を失う

高氏は中国の文化人として名高い人物で、「文化力」そして「文化による人間精神の復興」を一貫して訴えてきました。

高氏の定義によれば、「文化」とは一種の客観的に存在する力ですが、「文化」と「文化力」は必ずしも同じ意味ではないそうです。

たとえ「文化」資源が豊富であったとしても、「採掘」されず、「製錬」されず、「利用」されなければ、それは単なる沈んだ「文化」であり、死んだ「文化」だということ。

社会の牽引力となり推進力となる「文化力」とならなければ、実用価値を失ってしまうといいます。

文化が力に転換された時に初めて「文化力」と呼ぶことができ、「文化力」とは科学の進歩や経済の発展、社会の繁栄などに無限の力を与える原動力であり、ソフト・パワーの核心となるものと説明しています。

その上で、文化力はこれまで「軍事力」や「経済力」より低い次元に見られることが多かったですが、人間が人間である証明は文化を持っていることにある以上、文化の力を見直す時がきていると説いています。

今後の中国が目指す「調和社会」を構築していくうえで基盤となるのが「文化力」とも訴えています。

「異文化」に対処するには「協調の心構え」が重要

本書の基調をなすのは、現代社会のキーワードは「共生」「共存」「調和」であるとの認識です。

中でも≪異なる文化≫に対処するには「協調の心構え」が何より重要であり、その方法としては「対話」しかないと語り合っています。

その意味で、仏教の共生思想の伝統を持ち、高い文化力を保ってきた中国の人々をはじめとする東アジアに、トインビー博士が大いなる希望を抱いていたことが池田先生から紹介されたのも興味深いです。

日中の2国間関係について、池田先生は、「貴国は日本にとって文化大恩の国」、「漢字や書道、文学や美術など、現在の日本文化を形成している要素の多くは、貴国の影響によるもの」との姿勢を貫いています。

中国と日本の永遠の友好を念願する二人が、民衆を結ぶ文化力の可能性を探り、次世代を生きる青年たちに、「恒久平和」「調和社会と平和世界の建設」を託した書といえます。

  

【対談者紹介】 高占祥(こう・せんしょう / カオ・チャンシアン)

中国「中華文化促進会」主席。1935年河北省通県(現・北京市)生まれ。

北京宣武紅旗業余大学ロシア語専攻・中国語専攻・日本語専攻卒。1953年中国共産党に入党。中国共産主義青年団中央書記、中華全国青年連合会副主席、河北省党委書記などを経て、中国文化部常務副部長(副大臣)に就任。その後、全国政協委員(文化芸術界)、中国京劇芸術基金会名誉会長、中国芸術撮影学会会長、中国文学芸術界連合会党組書記などの要職を歴任し、中国文化事業の発展に力を注いできた。

『文化力』など著書多数。詩歌、書道、写真など多方面への深い造詣で知られる。



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