劉遵義博士と池田大作先生の対談集『新たなグローバル社会の指標-平和と経済と教育を語る』

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香港中文大学の劉遵義・第6代学長と池田大作先生の対談集『新たなグローバル社会の指標-平和と経済と教育を語る』を紹介します。

『新たなグローバル社会の指標―平和と経済と教育を語る』 劉遵義 池田大作
『新たなグローバル社会の指標-平和と経済と教育を語る』(第三文明社)

  

二人の最初の出会いは2007年。創価大学にとって、香港中文大学は継続的な学術交流協定を初めて結んだ大学です。

「創立わずか5年目の若い創価大学に、交流の扉を開いてくださった大恩」に池田先生はとても感謝しており、池田先生自身も香港中文大学のキャンパスに4回足を運んでいて、1992年には講演も行っています。

戦後最悪に冷え込んだ日中関係についての具体的な提案

劉博士は中国生まれの香港育ち。16歳で渡米し、米国の一流大学として知られるスタンフォード大学で40年にわたり教鞭をとりました。

経済学の大家として知られ、1997年のアジア通貨危機を2年前に予見したことでも有名。2008年のリーマン・ショックについても、利回り格差の数値の異常さに早くから気がついていた経済のスペシャリストです。

副題にあるとおり、対談集の主なテーマは平和、経済、教育。中でも「戦後最悪の状態」と言われるほどに冷え込んだ日中関係について二人とも具体的な提案を行っています。

劉博士は、経済学者の立場から、中日自由貿易圏の設置や、人民元と円の為替レートの調整など、ウィン・ウィンの日中関係構築のための提案を行っています。

池田先生も、日中友好こそがアジアと世界の平和の礎になるとの信念から、日中首脳会談の定期開催の制度化や日中平和友好条約で誓約した「武力や武力による威嚇に訴えない」「覇権を求めない」の二点を守り抜く重要性などを訴えています。

日中関係の困難さは、今よりこれまでのほうがむしろ厳しかったとの史実もあります。池田先生は「戦後の中日友好はまさに道なき道でした」「50年前、40年前の困難は、現在よりもずっと大きかった。それを両国の偉大な先輩方は全部乗り越えてきたのです」などの中国側の言葉を紹介しています。

日中の未来を担う「青年世代」の交流の重要性

本書には、池田先生が1968年に行った「日中国交正常化宣言」の内容も収録され、宣言の中で池田先生は、「日本が率先して中国との友好関係を樹立すること」を訴えています。これを読めば当時の日中関係が現在と酷似していることがわかります。

池田先生は、21世紀の日本が全力で取り組むべき課題は「日本と中国の友好を万代に揺るぎないものにすること」と指摘しています。

中でも未来を担う青年世代の交流の重要性について二人の意見は一致していて、劉博士は創価学会の「牽引的な役割」に期待を寄せています。

  

【対談者紹介】 劉遵義(りゅう・じゅんぎ)

1944年、中国・貴州省生まれ。経済学者/香港中文大学第6代学長(2004~10年)。香港での初等・中等教育を経てスタンフォード大学に進み、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。スタンフォード大学経済学教授、同大学アジア太平洋研究センター所長、経済政策研究所所長を歴任。

専門は、経済発展と経済成長、中国を含む東アジア経済。1966年、最も早く中国の計量経済モデルを構築し、その後も改善、精緻化に努める。中国人民政治協商会議第12期全国委員・経済委員会副主任。計量経済学会、中国社会科学院、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ、台北中央研究院、国際欧亜科学院の院士など。

学問発展に寄与。『21世紀の中国経済:計量経済方法』などの著書のほか、国際学術誌に掲載論文は170余り。

  

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