趙文富博士と池田大作先生の対談集『希望の世紀へ 宝の架け橋-韓日の万代友好を求めて』

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韓国・済州大学元総長の趙文富(チョー・ムンブ)博士と池田大作先生との対談集『希望の世紀へ 宝の架け橋-韓日の万代友好を求めて』を紹介します。

趙文富博士と池田先生の対談集『希望の世紀へ 宝の架け橋――韓日の万代友好を求めて』
『希望の世紀へ 宝の架け橋-韓日の万代友好を求めて』(徳間書店)

  

本書は、池田先生が韓国人識者と編んだ初の対談集です。本書が発刊された2002年は、サッカーのワールドカップが日韓共同で開催され、かつてないほど両国に友好ムードが漂っていた時期です。本書ではそうした成功を一過性のものとせず、両国の友好の流れをさらに強めていきたいとの共通の願いのもとに編まれています。

「正しいアジア観」を社会に定着させる基盤は「教育」

趙文富博士は、池田先生の5歳年下で、中学で父を亡くし苦学して青年時代に学び、努力し抜いた教育者です。結婚後も、給料のほとんどを苦学する学生のために使ってきたことが書かれています。

本書では、池田先生のアジア観、歴史観が率直に語られています。

それは牧口常三郎初代会長・戸田城聖第2代会長から受け継いだものともいえますが、韓国が日本にとっての「文化大恩の国」であることを繰り返し強調しながら、「正しいアジア観」の必要性を力説しています。

「正しいアジア観」とは、平たく言えば、正しい歴史認識のことであり、そうした歴史認識を社会に定着させるには、教育こそが一切の基盤となるとの信念は二人に共通しています。

池田先生は、真の韓日友好には公正な歴史認識が不可欠と繰り返しています。そのために、隣国であるゆえの長い歴史をひもとき、その多くが実は友好の時代だった史実などが多く紹介されています。

例えば、趙博士の出身地である済州島の3人の始祖はいずれも日本から王女を迎え入れたとの伝説が残ることや、日本の飛鳥文化や奈良文化の基礎もその多くが隣国からもたらされたこと、また朝鮮通信使など友好的な関係が500年以上にわたって続いてきたことなどです。

一方で、日本と韓国で全く正反対の評価をされている著名人として豊臣秀吉が話題にのぼります。韓国では残酷な朝鮮出兵によって、民族の敵として最も憎まれているのが秀吉です。

「韓日友好」の進展は「世界平和へのモデル」となりうる

池田先生は「韓日友好は、だれのためでもない。第一に、日本人自身の魂の浄化のためである」「そうしなければ、日本人の人間性の回復はできない」と語っています。

さらに韓日友好の進展は、単に2国間の問題にとどまらず、そのまま「アジアの安定と世界平和へのモデル」となりうることを指摘しています。

こうした池田先生の思想の根底にあるのが、仏法思想に基づく「共生の哲学」であり、「世界市民意識」です。

隣国との摩擦がクローズアップされがちな昨今、両国の麗しい友好交流の歴史にも光を当てた対話は、今の時代に示唆を与える一書です。

  

【対談者紹介】 趙文富(チョー・ムンブ)

1932年12月13日、韓国・済州道生まれ。ソウル大学校法科大学行政学科卒業。国立済州大学講師、助教授、教授を経て、1997年より2001年2月まで同総長。現在、同名誉教授。

政治学博士。東京大学客員研究員、米国エール大学客員研究員、韓国地方自治学会常任理事等を歴任。国民褒賞、青条勤政勲章等を受賞。

著書に『法と公害』『予算決定過程の構造と機能-比較的視点から』(日本語)など、論文に『済州島の住民運動とその意味』『韓国公務員制度の特徴-日本の公務員制度と比較して』(日本語)などがある。

  

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