サーラ・ワイダー博士と池田大作先生の対談集『母への讃歌-詩心と女性の時代を語る』

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詩心と女性の時代について語り合った、アメリカ・エマソン協会サーラ・ワイダー元会長と池田大作先生の対談集『母への讃歌-詩心と女性の時代を語る』を紹介します。

サーラ・ワイダー博士と池田大作先生の対談集『母への讃歌』(潮出版社)
『母への讃歌-詩心と女性の時代を語る』(潮出版社)

  

二人の出会いは2006年7月。日本の創価学園を訪問したワイダー博士は、さらに創価大学や創価女子短期大学を訪れ、池田先生と初めての出会いを結びました。

親子三代にわたるエマソンとのつながり

博士は母の形見であるブルーのスーツに身を包み、母の遺品である書籍を池田先生に進呈します。池田先生はその時のことを、「お母様に対する深い愛情と尊敬の念が、ひしひしと伝わってきます」と御礼の言葉を述べました。

これは、ワイダー博士がエマソン研究に打ち込むきっかけとなったのは、自身の母を通してだったからです。博士のお母様は高校時代にエマソンの『自己信頼』と出合い、自ら決めた「使命」の道に突き進むことを決意します。

さらにその母(=祖母)もエマソンを愛読していました。つまり、この出会いは、三代にわたるエマソンとのつながりが生んだ結果だったのです。

池田先生は多忙な中で読書の習慣を貫いたエマソンの母親の存在なども例に引きながら、「偉大な人には、偉大な母親の存在があるもの」と、世の母親への最大の賛辞を贈っています。

21世紀は「詩の心」が復活する世紀

エマソンは、19世紀の米国で活躍し、人間の限りない可能性を謳った思想家、哲学者、作家、詩人として知られ、その後のデューイ哲学にも大きな影響を与えた人物です。

それだけに本書の内容も、「言葉の力と詩心の復権」を中心テーマに、青年論、女性論、友情論、芸術論、文学論、大学論など多岐にわたります。

池田先生は「現代の若きエマソンを励ます一書となることを願う」と述べているように、青年層へ向けられた熱いメッセージとなっています。

池田先生は、「人類を圧迫する科学や政治、経済の歪み」などから「人間はその重圧に耐えられ」なくなっており、その中で、「詩は、人間の精神を限りなく広げ、豊かに」してくれると評価。だからこそ、「21世紀は詩の心が復活する世紀」と述べています。

一方でワイダー博士も、詩人は、名もなき人々の声を「言葉に現す能力を持つ最も勇敢な人たち」と評価しています。

エマソンを軸としたこの対談集の末尾は、友情の美しさを表現したエマソン自身の特徴的な詩で締め括られます。以下、抜粋を紹介します。

「私の胸は言った、おお友よ、
君ひとりゆえに空は晴れ、
君ゆえにバラは赤く、
万物は君ゆえに姿気高く、
この世ならぬものに見える。」
『エマソン名著選 精神について』入江勇記男訳、日本教文社

子どもを育てるお母さんをはじめ、すべての女性にエールを贈る対談集です。

  

【対談者紹介】 サーラ・ワイダー(Sarah Wider)

エマソン協会元会長。コルゲート大学教授。1981年、ニューメキシコ大学卒業。1986年、コーネル大学で博士号を取得。現在、全米屈指の教養大学であるコルゲート大学の教授として、英文学、女性学などの講座を担当。

2006年1月、「エマソン協会」会長に就任。エマソン研究の世界的なネットワークづくりに尽力してきた。詩心に光を当てながら、人間精神の無限性や自然との調和を尊重する思想を現代に広めている。

著書に『エマソン批評集』『アンナ・ティルデン』など。



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