ケビン・クレメンツ博士と池田大作先生の対談集『平和の世紀へ-民衆の挑戦』

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平和学者ケビン・クレメンツ博士と池田大作先生の対談集『平和の世紀へ-民衆の挑戦』を紹介します。

ケビン・クレメンツ博士と池田大作先生の対談集『平和の世紀へ 民衆の挑戦』(潮出版社)
『平和の世紀へ-民衆の挑戦』(潮出版社)

  

クレメンツ博士は現在、ニュージーランドのオタゴ大学教授、同大学国立平和紛争研究所所長を務めています。

それ以前は、アメリカのジョージ・メイソン大学紛争分析・解決研究所所長などを歴任したほか、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、オランダの各国政府の政策顧問を務め、アフリカ・アジアの紛争解決を専門とするNGO「インターナショナル・アラート」の活動にも携わった、平和研究の第一人者として知られています。

さらに2009年からは池田先生が設立した戸田記念国際平和研究所の総合所長を務めています。

池田先生との最初の出会いは1996年。戸田平和研究所の活動が始まって間もない時期に、初代所長に就任したマジッド・テヘラニアン博士をまじえて3人で語り合ったのが最初です。

「核兵器に依存しない安全保障構築」の重要性

「核兵器廃絶」「難民問題」「人権文化の建設」「災害と復興」など、多岐にわたる課題について意見をかわしたこの対談集は、ニュージーランド出身のクレメンツ博士の生い立ちから始まります。

博士の父親はプロテスタントの牧師であり、第2次世界大戦では宗教的信念から「良心的兵役拒否」を貫きました。そのため、ほかの約1000人の拒否者と一緒に戦争が終わるまで投獄された経験を持ります。

その父が早い時期から一貫して核兵器反対の立場を取っていたことに、「私は心から誇りに思っています」と語っています。

そうした父や、ベトナム戦争の影響を受けて「平和・紛争学」を専門とする学者になった博士は、創価学会青年部の核廃絶への活動についても、「いつも感心してきた」と述べ、さらに「現在の青年部の世代によって(核廃絶は)実現されるという確信がある」と期待を寄せています。

対談集では、「核兵器に依存しない安全保障構築」という点で池田先生と一致し、核戦争や核兵器に関わる事故の被害は凄まじいものになることを訴えています。

平和は完結するものではなく「終わりのないプロセス」

さらに自身の学問上の師匠に当たるエリース・ボールディング博士の「子どもを育てること、それ自体が平和のための仕事である」との信念などを紹介し、平和建設における女性の使命を語り合いました。

その上でクレメンツ博士は、平和の創出は長距離走であって、短距離走ではないこと。瞬発的な行動ではなく、継続した息の長い努力が必要なこと。平和はいつか到達し完結するものではなく、終わりのないプロセスであることなどを強調しています。

また、2011年という同じ年にニュージーランドと日本が大地震に見舞われ、相互に支援の体制がとられたことや、ニュージーランドの先住民族マオリとの和解のプロセスなどが語られます。

さらにニュージーランドが世界で最初に「女性参政権」を認めた国となったことや、福祉国家になるために貢献した二人の大統領の逸話なども紹介し、“人権と平和の先進国”ニュージーランドの歴史や背景がよくわかる内容となっています。

不戦と共生の時代の建設を“民衆の運動”に託した二人の貴重な対談集です。

  

【対談者紹介】 ケビン・クレメンツ(Kevin P. Clements)

平和学者。1946年、ニュージーランド生まれ。国際平和研究学会(IPRA)事務局長をはじめ、アメリカのジョージ・メイソン大学紛争分析・解決研究所所長などを歴任。ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、オランダの各政府の政策顧問も務めた。

現在は、ニュージーランドのオタゴ大学教授、同大学国立平和紛争研究所所長。また、戸田記念国際平和研究所の創設以来、国際アドバイザーの一員として同研究所の活動を一貫して支援し、2009年に総合所長に就任。

7冊の編著、150以上の論文等がある。

  

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