ジム・ガリソン博士 / ラリー・ヒックマン博士と池田大作先生の対談集『人間教育への新しき潮流-デューイと創価教育』

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アメリカ最高峰の哲学者・教育者として知られるジョン・デューイ(1859-1952)について、デューイ研究の第一人者であるジム・ガリソン博士(バージニア工科大学教授)、ラリー・ヒックマン博士(南イリノイ大学教授)と池田大作先生が語り合ったてい談集『人間教育への新しき潮流-デューイと創価教育』を紹介します。

ジム・ガリソン博士 / ラリー・ヒックマン博士と池田大作先生のてい談集『人間教育への新しき潮流――デューイと創価教育』(第三文明社)
『人間教育への新しき潮流-デューイと創価教育』(第三文明社)

  

タイトルのとおり本書の主題は「人間教育」であり、「世界市民」「民主主義」などが付随するキーワードとなっています。

そこには、「社会を根本から再建するには教育の力しかない」との考え方があります。

「知識」には文化による制限があっても「知恵」には国境がない

創価教育の父として知られる牧口常三郎初代会長は早くからジョン・デューイの哲学に注目していました。

戦中、敵国の思想・哲学を称賛することは考えられない時代にもかかわらず、その思想の卓越性を宣揚していました。

同じく教育者だった戸田城聖第2代会長もデューイを深く尊敬していました。

本書では、デューイ哲学と創価哲学がまったく異なる文化的土壌から生まれたにもかかわらず、驚くほどにその理念が似通っていることが話題になります。

そして、デューイと牧口初代会長が実際に出会っていたら、どのような会話をしただろうかといった想像的な語らいもなされます。

ガリソン博士は「デューイの哲学と、日蓮や創価学会の哲学が驚くほど類似しているのは、“知識”には文化による制限があったとしても“知恵”には国境がないことを示唆しています」と語っています。

デューイ哲学と創価哲学に共通しているものとして、例えば、「開かれた人格」による「対話」の大切さや、異なる文化を許容し差異を積極的に評価する世界市民教育の重要性などが語られています。

幸福とは「独自の能力」を発揮して「価値」を生み出すこと

てい談の中では、デューイの幸福観も明かされます。

世の中には「快楽」や「成功」を「幸福」と取り違えている人が多いが、デューイの掲げる「幸福」とは、「その人に備わった独自の能力を発揮して、物理的、生物学的、社会的な状況に適応し、意味や価値を生み出せる人のこと」とガリソン博士は説明しています。

牧口初代会長も自分の無限の可能性を開花させていけることを教育の主眼に置いていました。

民主主義は「最終地点」ではなく「追及すべき理想」

「民主主義」についても、民主主義は決して「固定的な最終地点」を意味せず、むしろ「際限なく追求すべき理想」であって、「よりよい社会を創造するために、永遠に前進すべきプロセス」を意味すると説明しています。

第2次世界大戦後の教育の民主化と改革において、デューイの教育哲学が日本社会に大きな影響を与えたという指摘も新鮮です。

「社会のための教育」から「教育のための社会」への転換を促す、家庭・学校・社会教育への提言が満載の現代教育論でもある一書です。

  

【てい談者紹介】 ジム・ガリソン(Jim Garison)

1949年、アメリカ・オハイオ州生まれ。バージニア工科大学教育哲学教授、アメリカ哲学振興協会執行委員。ジョン・デューイ協会会長、教育哲学協会会長などを歴任。主な研究分野は、プラグマティズム(実用主義)。著作・編著多数。

教育哲学分野での研究が高く評価され、ジム・メリット賞、ジョン・デューイ協会特別功労賞などを受賞。

  

【てい談者紹介】 ラリー・ヒックマン(Larry A Hickman)

1942年、アメリカ・テキサス州生まれ。南イリノイ大学カーボンデール校哲学教授、デューイ研究センター所長。テキサス農業大学哲学教授のほか、アメリカ哲学振興協会会長、ジョン・デューイ協会会長などを歴任。著作・編著多数。

2007年、全米優等学生友愛会 全米優秀学者賞を受賞。創価大学・ケルン大学名誉博士。



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