マジッド・テヘラニアン博士と池田大作先生の対談集『二十一世紀への選択』

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マジッド・テヘラニアン博士と池田大作先生の対談集『二十一世紀への選択』を紹介します。

マジッド・テヘラニアン博士と池田大作先生の対談集『二十一世紀への選択』(潮出版)
『二十一世紀への選択』(潮出版)

  

テヘラニアン博士はイラン出身のイスラム教徒。アメリカ・ハーバード大学で博士号を取得、ハワイ大学教授などを歴任した平和学者です。対話のあり方を探究する「国際コミュニケーション」が専門で、イスラムの精神文化や歴史にも造詣が深い博士です。

テヘラニアン博士は、ハーバード大学で勉強に努めるかたわら、祖国の民主化運動に戦い、拘束された経験がある「行動する平和学者」です。

二人の出会いは1997年。池田先生は、テヘラニアン博士の、「苦しむ人々の側に立つ研究姿勢とともに、それを支える鋼のような信条に感銘を覚えた」と語ります。だからこそ、1996年2月に戸田記念国際平和研究所を設立した際、初代所長への就任を博士にお願いしたのでしょう。

「寛容と共生の社会」をつくる根本的な手段が「対話」

本書のテーマは、「寛容と共生の社会」をめざしての語らいです。

それは、異なる文化や人種といった「差異」をありのままに認め、尊重する生き方をめざすものです。そして、寛容と共生の社会をつくるための根本的な手段となるのが「対話」であり、相手をよく知ることが友好を深めるための第一歩となるという考え方です。

本書では、イスラム教が実はユダヤ教やキリスト教と“同じ神”を信仰する宗教であり、イスラム教はユダヤ・キリスト教の聖書解釈に対して7世紀に起きた宗教改革であったこと、イスラム教は「寛容の宗教」であり、多様性を重んじる文化であることなどが紹介されています。

また、イスラム世界そのものが、他の文化を吸収することで発展してきたことや、多様性を尊重する文化は、仏教なかんずく法華経と共通することなども話し合われています。

テヘラニアン博士は、21世紀を「人間の世紀」とするために仏教の理念が大きな役割を果たせると期待を寄せています。池田先生も、仏教の平等観の根本は他者への尊敬によって成り立っていることを説明します。

現代社会に必要とされる「差異を認め合う精神」

本書はアメリカ・ニューヨークで2011年9月に起きた同時多発テロより約1年前に発刊されました。テロという手段は絶対に許されないと語り、テロへの対抗手段としての軍事力の行使にも否定的な見解を示すなど、時代を先取りした対談内容となっています。

民族や文化の違いなど互いの「差異」を認め合うような社会をつくるのか、差異が偏見となり対立してしまう社会をつくるのか―。いまだ分岐点に立っている現代世界において、人類を結ぶ指標となる対談集です。

  

【対談者紹介】 マジッド・テヘラニアン(Majid Tehranian)

ハワイ大学教授。戸田記念国際平和研究所所長。

1937年イラン・マシュハド生まれ。コミュニケーション論、政治経済学、中東研究などを専攻。ハーバード大学で修士号、博士号を取得。スパーク・マツナガ平和研究所所長などを歴任。ボストンのタフツ大学外交大学院客員教授も務める。

著書に『グローバル・コミュニケーションと世界政治』など多数。

  

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