対談集『明日の世界 教育の使命-21世紀の人間を考察する』

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ヴィクトル・A・サドーヴニチィ総長と池田大作先生の3冊目の対談集『明日の世界 教育の使命-21世紀の人間を考察する』を紹介します。

ヴィクトル・A・サドーヴニチィ総長と池田大作先生の対談集『明日の世界 教育の使命―21世紀の人間を考察する』(潮出版社)
『明日の世界 教育の使命-21世紀の人間を考察する』(潮出版社)

  

本書の特徴は、21世紀を超え、次の「22世紀」をも視野に入れている点です。100年先の22世紀を見据えた「百年の大計」での青年の育成が論じられています。

「22世紀」を見据えた「大学の使命」の重要性

池田先生は「22世紀の大地に林立しゆく人間の大樹をつくる」との大きな展望を掲げ、総長も、「教え子たちの成長こそが、教育に関わる私たちの真の誇り」と応じています。

さらにサドーヴニチィ総長が、モスクワ大学創設者ロモノーソフの「国家の中心に教育を据える」との思想を紹介すると、池田先生も「大学は人間のつくった制度の中で最も永続するものの一つ」とのエリオット・元ハーバード大学学長の言葉を引用。社会建設に果たす大学の使命の重さが語り合われています。

その上で池田先生が「社会のための教育」から「教育のための社会」と折に触れて訴えてきたことを再度強調しています。

「人間」は「人間」によってのみ教え育まれる

本書ではほかに、未来に大きな可能性を秘めたBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)5カ国の動向、日中関係を題材に互いの歴史を学ばなければ真の友好と信頼は築けないことを論じているほか、「人道的競争」の時代へのパラダイム転換の必要性などが語られています。

「22世紀」をテーマにした話題として、医療の発展によって平均寿命が大きく延びる可能性や、人間は人間によってのみ教え、育まれるという信念からコンピューターが人間に代わる存在にはなりえないとの持論、さらに22世紀のエネルギー源、核兵器廃絶への道など、幅広い話題が語られています。

「教育交流」で結ばれた「信頼と友好」の大河

旧ソビエト連邦崩壊直後の1992年から未曾有の苦難の真っただ中で、モスクワ大学はもとより、ロシアの大学教育全般の舵取りという重責を担い続けてきたサドーヴニチィ総長。本書を読むと、何度も対談を重ねる池田先生に対する信頼の大きさを感じます。

モスクワ大学と創価大学の交換留学生は、この40年近くで320人を超えていますが、教育交流で結ばれた深い絆が友好の大河の源になっているとの認識を語ります。

二人が大学教育によって未来を開いていこうとする情熱を感じる対談集です。

  

【対談者紹介】 ヴィクトル・A・サドーヴニチィ(Victor Antonovich Sadovnichy)

モスクワ大学総長。ロシア大学総長会議議長。ロシア科学アカデミー正会員、同副総裁。

1939年ウクライナ生まれ。モスクワ大学機械・数学部大学院修了。1976年に同大学教授となり、1992年にモスクワ大学総長に就任。機械・数学の機能理論・機能分析学の分野における世界的研究家。ソ連崩壊後、総長としてモスクワ大学の教育水準の維持、財政の立て直しに尽力する。ヨーロッパ大学総長・副総長・学長会議議長。ユーラシア大学協議会会長としても活躍。

『シュレーディンガー演算子スペクトル分析』『操縦飛行の力学的シミュレーションにおける数学的課題』『数学解析』『演算子理論』などのほか、多数の著書がある。モスクワ市「名誉市民」証、ロシア「連邦教育賞」をはじめフランス「レジオンドヌール勲章」、韓国「外交功労勲章」、日本「旭日重光章」等を受ける。

  

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