沖縄戦70年 平和意識調査に約3万5千人が回答

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創価学会沖縄青年部では、沖縄戦より70年目の2015年1月~3月、県内の青年層の意識を把握し今後の活動につなげていくため、沖縄国際大学の石原昌家名誉教授の監修のもと平和意識調査を実施しました。

調査結果を通して、学校教育の重要性が浮き彫りになりました。また、沖縄戦継承の難しさを感じた結果でもありました。

石原名誉教授は全体を通して、「沖縄戦の継承は、問題意識を常に高めるようにして、体験継承の重要性を、学習活動によって深めていく不断の努力が必要だということを、今回の調査は教えてくれている」と述べました。

ここでは調査の分析結果を紹介します。

  

3万4894人に平和の連帯広げる

実施期間は1月15日~3月21日まで。

中学生から復帰っ子(沖縄本土復帰の年1972年生まれ=43歳)までを対象に3万4894人から回答を得ることができ、これまでにない大規模な調査となりました。調査方法は、県内全域の会員の友人、知人に回答の協力を依頼し、さらに、各地の街頭でも呼び掛けて協力を得ました。

また、約300人の創価学会青年部員、未来部員で、1枚1枚の調査票を手作業で集計していきました。今回の調査は、単なる調査のための調査ではなく、多くの人たちが平和について意識を深める貴重な機会になったと考えています。

有効回答数3万2186(92%)の調査票を集計


どの国が争ったか 8人に1人が不正解.

  

  

【問1】沖縄戦はどの国とどの国が争った戦争ですか?
※正解 日本とアメリカなど

全体の87%が正解の回答だった。基本的な問いであったが、8人に1人は不正解。不正解の回答には、「沖縄とアメリカ」と答える人が多かった。



慰霊の日の正解率7割

  

  

【問2‐1】沖縄慰霊の日は何月何日ですか
※正解 6月23日

記述式の問いにもかかわらず、全体で74%の人たちが正解の回答だった。年代別で見ても、どの世代も7割を超えている。
これは、どの世代も沖縄戦を学ぶための教育が一定の効果を上げていると考える。


平和の礎の刻銘者数 正解率3割

  

  

【問2‐2】「平和の礎」に名前が刻まれた沖縄戦の全犠牲者はどれくらいですか。
※正解 約24万人

どの世代においても30%の正答率だった。平和の礎の、刻銘者数まで把握している人は少ない。


「家族、親類の体験聴いた」減少傾向「学校や行事で体験聴いた」増加傾向

  

  

【問3】沖縄戦の体験者の話を聴いたり学んだことはありますか。
(複数回答可)

「家族、親類の体験を聴いた事がある」と回答した人は40代が52%、30代が42%、20代が41%、10代が33%という結果で、世代が若くなるにつれて減少傾向にある。


  

一方で、「学校や行事などで体験を聴いた事がある」と答えた人は40代が52%、30代が60%、20代が76%、10代が80%と、世代が若くなるにつれて増加傾向。
身近な体験者が減っていくなか、学校教育において戦争体験を聴く機会が増え、重要な役割を担っていると言える。


「沖縄戦話す機会無い」61%

  

  

【問4】ここ1年以内で家族、友人、知人などと沖縄戦について語り合う機会は、ありましたか。

全体の61%が無かったと回答。半数以上の人たちが、日ごろ、身近な人たちと沖縄戦について話す機会が無いことが伺える。


「沖縄戦を学ぶこと意義ある」9割

  

  

【問5】沖縄戦の歴史を学ぶことについて、あなたの考えに近い項目を選択してください。
(複数回答可)

沖縄の歴史上の出来事として、学ぶ意義はある」と回答した人は49%。
「平和の建設、維持に向けて重要である」と回答した人は、全体で46%。
青年世代の多くが、沖縄戦を学ぶことについて意義があると考えている。しかし、「平和建設、維持のために学ぶ」のか、「歴史上の出来事として学ぶ」のか、意見が分かれていることが伺える。


平和記念資料館など見学77%

  

  

【問6】県内では沖縄戦を継承していくため、さまざまな取り組みが行われてきました。経験したことのある取り組みを全て選択してください。

どの世代においても、平和祈念資料館や、ひめゆり平和祈念資料館などの展示を見学したことがあると回答したのは77%と高かった。
また、体験者の映像を視聴したことがあると回答した人は、全体で40%だった。さらに、沖縄県史や市町村史で体験を学んだことがあると回答した人は、どの世代も30%台だった。体験者が減少していく中、映像や書籍を通して学ぶことの重要性が示唆された結果だと言える。


「学び伝えていきたい」64% 「どちらとも言えない」29%

  

  

【問7】今後、沖縄戦のことを学び、誰かに伝えていきたいと思いますか?

64%の人たちが、沖縄戦のことを、学び伝えていきたいと「思う」と答えている。また、沖縄戦のことを学び、誰かに伝えていきたいとは、「思わない」と答えた人が全体で4%。「どちらとも言えない」が、29%いることも分かった。青年世代の約3割が、沖縄戦継承に迷いを感じていることが伺える。


「体験者の話を直接聴く」74%

  

  

【問8】問7で「思う」を選択された方へ質問。沖縄戦のことを学ぶ方法として、どのような形が良いか選んでください。
(複数回答可)

その内の74%の人たちが「体験者の話を直接聴くこと」が大切だと回答。「資料館などの展示の見学」が大切と回答したのが66%。「戦跡の見学」が大切と回答したのが52%であった。体験を学ぶことの重要性が伺える
一方で「書籍」や「ネット」が大切と答えた人は2割程度。「テレビ、ラジオ」が大切と答えた人は34%。日常的に学べる手段であるが、関心の低さが目立った。


「伝えていくことは困難だと思う」33%

  

  

【問9】問7で「思わない」または「どちらとも言えない」を選択された方へ質問。なぜそのように思いますか。あなたの考えに最も近いものを選択してください。
(複数回答可)

理由として「伝えていくことは困難だと思うから」と答えた人が最も多く33%。「忙しくて学ぶ時間がないから」が21%。「気が重くなるから」が12%。
「その他」を選択し、自由記述で回答した人には、沖縄戦の歴史を継承していくことについて「自分の役割ではない」「自分は経験していないので、伝えることができない」といった意見が多数みられた。戦争体験の継承の難しさが伺える。戦争を経験していない世代が、いかにして学び、伝えていけるかが、今後の課題として浮かび上がった。