2024.11.29
今こそ災害への備えを 〜「ぼうさいこくたい2023」に参加して〜
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日本各地で台風や豪雨災害が多く発生し、大きな被害を残しています。また数十年以内には、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が起きると想定されています。さらに近年、防災のテーマは世界的にも注目されていることをご存じでしょうか。
「ぼうさいこくたい2023」が開催
1923年9月1日に神奈川を震源として発生した関東大震災から100年の節目に当たる2023年9月、横浜国立大学にて防災推進国民大会(通称「ぼうさいこくたい」)が、内閣府等の主催で開催されました。
8回目となった今回は、「次の100年への備え〜過去に学び、次世代へつなぐ〜」をテーマに開催。防災に取り組む多様な団体や機関が出展し、2日間で約16,000名が来場しました。
創価学会インタナショナル(SGI)が所属する「防災・減災日本CSOネットワーク(JCC-DRR)」は18日に、「最新の防災施策に関する市民社会からの提案」と題してセッションを開催。防災や復興支援に取り組むNGOや企業を代表して、5名が登壇しました。
災害から人々を守る「早期警戒システム」
同セッションで議題に上ったのは、災害の発生前の段階で、警報や注意報として事前に地域住民に伝達し備えることで災害の被害を抑える、「早期警戒システム」です。
これまで多くの災害を経験してきた日本では、天候の予測精度が年々上昇し、警報の仕組みも改善され、システムの普及と整備が進んできましたが、世界では、未だ約半数の国でそれが導入されていません。
2022年のCOP27(第27回国連気候変動枠組条約締約国会議)にて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2027年までの5年間を見据えた国連行動計画「すべての人に早期警報システムを」を発表しました。グテーレス事務総長は、「早期警報システムの普及が限定的な国では、普及率の高い国に比べ、災害による死亡率が8倍高く」(引用:国連広報センター)なると強調。行動計画では、災害リスクの把握、観測と予測、迅速な伝達、そして備えと対応能力を4つの柱とし、政策、科学技術、資金面における多様なセクターの協力を呼びかけました。そして、国連防災計画などが主導して、同システムが導入されていない国々において導入に向けてのコンサルテーションが進んでいます。
ただ忘れてはならないのは、システムがたとえ導入されても、被害がなくなりはしないということです。導入が進んでいる日本でも、「逃げない人」「逃げられない人」の存在が明らかになっています。JCC-DRRによる調査では、同システムは「防災」という、より大きな取り組みの1つのピースであり、関連の様々な取り組みの整備や、地域コミュニティにおける人々の連携が重要であることが明らかになりました。
同セッションでは、早期警戒システムの導入・普及のための課題という話題に加えて、各地域特有のニーズを考慮した地域コミュニティ主体の備えの重要性や、発災後の避難所対応等について中長期の運営を視野に入れた計画や防災教育の必要性が強調されました。また、企業と市民社会の協働によってより多くの人を巻き込みながらの防災の推進が可能になった事例の発表もありました。
地域コミュニティ・レベルや企業レベルの取り組みとともに、私たち市民一人一人の備えも重要です。各自治体が発行するガイドブック等の活用や防災イベントなどへの参加を通して、今できる備えとは何か、考える機会にしてみてもよいかもしれません。
この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています
●目標11. 住み続けられるまちづくりを
●ターゲット11.5
2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
●目標13. 気候変動に具体的な対策を
●ターゲット13.1
全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
●ターゲット13.3
気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
●目標17. パートナーシップで目標を達成しよう
●ターゲット17.16
全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。