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SDGsの達成に赤信号!?

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2030年の達成期限まであと6年。果たして達成はできるものなのでしょうか。また、日本の状況はどうなのでしょうか。こうしたテーマに関する講演会が、学会の展示会の会場にて行われました。

SDGsの達成度は?

2015年に採択されたSDGsが進んでいるのか、いないのか。日本においてはSDGsについて目や耳にする機会は増えており、また取り組む企業・団体も当時に比べれば大きく増大しており、達成が近いと思っている人もいるかもしれません。


ところが、国連は2024年7月に、「世界全体の達成度はわずか15%、2030年の達成は困難」とのショッキングな分析を発表しました。他に、各国の達成状況を分析する民間の研究機関も存在しますが、そちらの分析でも状況は芳しいものではありません。

各国政府による評価

それらとは別に、各国は数年に一度、国連に対し自国の達成度を報告する仕組みがあり、毎年7月に開催の国連SDGsハイレベル・フォーラムでそのような報告が実施されています。これはボランタリー・ナショナル・レビュー(VNR。自発的国家レビュー)と呼ばれるものです。日本はこれまで、2017年と2021年に報告を行っており、次は2025年の実施を予定しています。

ただ、このVNRのやり方は各国によってまちまちです。時に各国政府は、恣意的に、自身の取り組みの成果を強調してしまうこともあります。そのため国によっては、政府だけではなく市民社会などによる分析も政府によるものと同等に扱って、国連で紹介しているケースもあります。そうしたことを踏まえ、日本の報告のあり方の改善を求める動きも、市民社会や研究機関などによって生まれています。

「希望と行動の種子」展の会場で講演会

  

「希望と行動の種子」展記念講演会の様子(西東京市こもれびホール)

  

世界の19カ国・地域で開催されてきた「希望と行動の種子」展の西東京展が、9月2日から6日にかけて、西東京市のこもれびホールで開催されました。

4日には、SDGs市民社会ネットワークの新田英理子事務局長による講演会が行われ、140名ほどが参加しました。

新田氏は、世界全体でのSDGsの進捗に遅れが出ており、達成が危ぶまれている状況を紹介しつつ、「進捗が15%と聞くと残念に思えますが、でも、残りが85%あると思えば、まだまだいろんなことができる、ともいえます。」と、ポジティブな見方を呼びかけました。

また、民間の研究機関による日本の進捗状況の分析結果を紹介。2020年時点では、17の目標のうちの約半数が「順調」と見なされていたのに対し、2024年発表の報告は、「順調」とされたのは目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のみにとどまり、半数近くが危機的となってしまったと述べました。

  

地域に根ざして

その上で新田氏は、一人一人の取り組みを進めて「自分ごと化」することに加えて、周囲の人々と一緒に議論し取り組む「自分たちごと化」することを提唱。また、日本独自の達成目標がないことにも言及した上で、より身近な地域での目標、いわゆる「ローカル目標」を立てる動きが生まれていることを紹介しました。

またさらに、全国の千を超える非営利法人(NPO)への調査結果を踏まえ、多くのNPOがSDGsを身近に感じることができていない状況があるものの、少なからぬ団体が目標3「すべての人に健康と福祉を」や目標11「持続可能なまちづくりを」に貢献している実態を紹介。市民一人一人におかれても、身近な地域活動などがSDGs達成への大きな貢献になるのです、と呼びかけました。
 
学会の中でも、地域に根ざして活動をされる方が多くいらっしゃいます。SDGsの視点でそれらを振り返ってみたとき、新たな発見があるかもしれません。また、そうした声を行政に届けていく中で、日本の、あるいは世界のSDGsの進捗に向けても変化を生み出せるかもしれません。

※平和委員会では、2023年の活動をまとめた動画をこの度作成しました。

Action for Peace 平和への行動 2023

  

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています。

●目標3. すべての人に健康と福祉を

●目標11. 持続可能なまちづくりを

●目標17. パートナーシップで目標を達成しよう