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「ぐるりよざ」 創価グロリア吹奏楽団

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伊藤康英氏の代表作である「吹奏楽のための交響詩《ぐるりよざ》」は、海外でも広く知られている吹奏楽曲の一曲です。

海上自衛隊佐世保音楽隊の委嘱により、1989年から1990年に手掛けられ、当初の依頼では当時話題となっていた佐賀の吉野ヶ里古墳をテーマにした曲でありましたが、伊藤氏の意向で、佐世保のある長崎をテーマとして作曲が行われました。

長崎は南蛮貿易の中心地であり、この貿易によって洋楽を含む外国文化、そしてキリスト教が入ってきましたが、幕府によって鎖国政策がとられ、禁教の時代となる。この時代の隠れキリシタンの歴史を、伊藤氏はテーマとして扱うことにしました。

長崎の生月島(いきつきしま)には、隠れキリシタンによって歌い継がれている祈りの歌「オラショ(御踊)」があり、歌い継がれるうちに、独特な節や、メロディに変化が生まれて原型が分からなくなっているものが多く、そのうちの一つ「ぐるりよざ」がスペインのグレゴリオ聖歌であることが皆川達夫氏によって発見されます。それが今回演奏する曲の中でモチーフとして随所に登場する「オ・グロリオザ・ドミナ O gloriosa Domina (栄光の聖母よ)」です。

“これは一般的な聖歌ではなく、16世紀のスペインの一地方、そして特定の年代にだけ歌われていたもので現地では既に廃れており、その時代にしか歌われていなかった歌が宣教師によって日本に伝えられ、禁教の時代を乗り越えて現代に歌い継がれている。”

このような背景が長崎にあることを知った伊藤氏は、「日本と西洋がかつて出会っていた事へのファンタジー」として、《ぐるりよざ》を作曲されました。

1楽章:祈り
シャコンヌ風の変奏曲、あるいはディフェレンシアスという形態をとり、13回の変奏を経る。これはキリストの受難の象徴としての数であり、変奏を経るごとにグレゴリオ聖歌が次第に変化し歪んでいく。

2楽章:唄
隠れキリシタンにより歌い継がれてきた歌「さんじゅあん様のうた」。龍笛により演奏される楽章の冒頭は1楽章の名残があり、それが次第に「さんじゅあん様のうた」へと変化していく。

3楽章:祭り
民謡「長崎ぶらぶら節」のメロディを変化させたものが使われ、打楽器のリズムには対馬蒙古太鼓のリズムが使われている。随所に1楽章、2楽章の名残があり、終盤にかけてフーガが奏され、今までのモチーフが重なり合って聖歌がコラール風に再現される。クライマックスでニ短調に転じ、「さんじゅあん様のうた」のモチーフが現れる。

吹奏楽の名曲を、作曲者自身の指揮によって演奏しました。どうぞお楽しみください。

創価グロリア吹奏楽団

創価グロリア吹奏楽団 創価学会音楽隊の中央楽団として、「音楽隊第一吹奏楽団」の名称で発足。1980年に「創価学会東京吹奏楽団」と改称。

1996年吹奏楽コンクールに初出場。翌97年に東京都代表として、第45回全日本吹奏楽コンクール(主催:全日本吹奏楽連盟・朝日新聞社)の全国大会に出場を果たし、金賞を受賞しました。

1997年11月1日に、「創価グロリア吹奏楽団」と改称。2002年からは同コンクールにおいて3年連続の金賞を受賞。 さらに2009年より2015年まで6大会連続金賞を受賞(2012年は規定により不出場)。2023年には通算16度目の金賞を受賞しています。

定期演奏会やファミリーコンサートの開催、イベントへの出演やレコーディングなど広範な活動を続け、東日本大震災の被災地支援の活動として、2011年5月には千葉県旭市で「復興応援コンサート」、2013年4月には福島県南相馬市にて「福光の春コンサート」を開催しました。

2014年からは、さらなる継続的な活動として「希望の絆」コンサートと題して、岩手県(大船渡市・釜石市・宮古市・盛岡市・遠野市)、福島県(福島市・須賀川市)、宮城県(多賀城市・石巻市・名取市・富谷市・仙台市・栗原市・大崎市・黒川郡大和町、大郷町)にて演奏会を開催。

また2018年には熊本地震の復興支援活動として、熊本県(熊本市・宇土市・菊池郡菊陽町)でコンサートを行い、2024年8月には、令和6年能登半島地震の復興支援活動として、石川・金沢市でも開催しました。

楽団員は、首都圏に在住する青年メンバーで構成されています。