持続可能な社会は“一人の心の変革と行動”から――展示を通じたESD(教育)運動

2020.12.17

創価学会は、ブラジルのリオデジャネイロで1992年に行われた国連環境開発会議(地球サミット)を機に、展示を通じた「持続可能な開発のための教育(ESD)」の運動に取り組み始めました。

「希望の種子」展を5大陸40カ国・地域で開催

中でも2010年からは、コスタリカに本部を置く国際NGO・地球憲章インタナショナルと創価学会インタナショナル(SGI)が共同制作した環境展示「希望の種子」展が、この10年間で、5大陸40カ国・地域を巡回。〝持続可能な社会は一人の心の変革と行動から始まる〟とのメッセージを発信してきました。

それらの展示は、池田大作SGI会長が2002年の環境提言で提唱した、環境教育において重要な「学ぶ」「生き方を見直す」「行動に踏み出す」という3つのステップに則っています。

「希望と行動の種子」展をリニューアル

この度、「希望の種子」展をリニューアルし、「希望と行動の種子」展を作成しました。(※現在は英語版のみ公開。日本語版は2021年4月以降に完成予定です)

SDGsの目標4は教育に関するものですが、その中のターゲット4.7は、「2030年までに持続可能な開発と持続可能なライフスタイル(中略)などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする」としています。

その達成に貢献するため、また国連教育科学文化機関(ユネスコ)による新たな国際枠組み「持続可能な開発のための教育:SDGs達成に向けて(ESD for 2030)」を推進するツールとして、今後オンライン上も含め、活用していきます。

  

「希望と行動の種子」展から(主な内容を紹介)

自然環境や人類の生命を支える複雑な生態系は、人類の活動によって急激に悪化しています。また気候変動は現代の特に深刻な問題です。

例えば2019年時点で、哺乳類の25%、両生類の41%、珊瑚の33%が絶滅の危機に瀕しています。2010年から15年の間に3200万ヘクタールの熱帯雨林が失われました。

マハトマ・ガンジーはかつて「地球には、人間に必要なものは充分にありますが、人間の欲を満たせるほどのものはありません。」と述べました。私たちが直面している地球的な課題は相互に関係しあっており、その中核には、人間の自己中心性があるのではないでしょうか。

そうした問題の克服を目指し、2015年には国連で持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。SDGsは、相互に連関している17の目標から成り、貧困、不平等、気候変動、環境破壊、平和と正義など、地球的な課題の解決に向けての具体的なビジョンを示しています。達成目標年は2030年です。

しかし、問題が深刻で社会が複雑さを増す中、私たちは自身の無力さに打ちのめされそうになっているかもしれません。私たちには「心の変革」が必要です。

そうした中にあって、2000年に制定された地球憲章は大きな羅針盤になるものと思います。その前文は、「基本的ニーズが満たされている生活の中にあって、人類の発展とは、私たちが人間的により成長することであり、必要以上に物を所有することではない」と謳っています。

地球憲章は、公正かつ持続可能で、平和な未来を築くための価値観と理念をまとめたもので、「持続可能な世界」への青写真を示しているのです。

また世界に目を向ければ、自らの心を変革して、周囲の環境の変化のために挑み行動する、世界の模範ともいうべき人々が存在しています。

難民キャンプから女性の権利のために声をあげた女性

例えば南スーダンの人権弁護士、ニュオン・スーザン・セビト・ウィリアム。内戦によってニュオンと彼女の家族は国内避難民となりました。

  

彼女の母は避難民のキャンプにおいてコミュニティ・リーダーを務めていました。男性優位の規範があるなかでも、ニュオンは初めて、女性が立派なリーダーとなれるということを目にしました。しかし、女性や女児に対する暴力など多くの悲劇も目撃しました。

彼女は語っています。

「私は弁護士になって女性の権利のために声をあげ戦おうと決意しました。正義がない中で構造的な暴力、またコミュニティによる暴力に女性がさいなまれているからです」

彼女は南スーダンでの性的暴力についての意識啓発に全力を傾け、基本的な人権に関する地元の女性向けの研修ワークショップを運営しました。

また、「女性弁護士国内連盟」をつくり、女性への法的支援、裁判への公平なアクセスの提供、そして法の支配の確立を推進しています。

「空のライト」を普及させた青年

またバングラデシュのサジド・イクバルがいます。

  

彼の育った地域では、多くの人々にとって、ろうそくと灯油ランプだけが灯りとして使用されており、低所得地域や工場においては、日中の照明の使用により電力の無駄遣いが頻繁に起きていました。

そこで彼は、電力の無駄遣いとCO2排出の両方を削減するため、水で満たされたペットボトルを屋根に装着し、自然光を使用して発電する「空のライト」と呼ばれる灯りを導入。

サジドは若者主体の社会企業を立ち上げ、電気が充分に行き届いていない貧しいエリアの家や工場用に、また街灯用に、「空のライト」を普及させました。

「一人が献身的で、情熱的で、粘り強くあれば、不可能なことは何もありません。まずは自身のアイデアを信じ、実現するまで行動するのです。壁にぶつかると投げ出したくなるかもしれませんが、カギはあきらめないことです。」

  

地球の未来は私たちの対応にかかっています。私たちは変革を起こすことができます。それは、夢、思考、アイデア、会話から始まるのではないでしょうか。また日々の生活の中での選択、学習など小さな一歩が変革につながるものと思います。

皆さんも一歩を踏み出してみましょう。

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています

●目標4. 質の高い教育をみんなに
すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し生涯学習の機会を促進する

●ターゲット4.7
2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。