グラスゴー大学 名誉学位記授与

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2006年10月7日。
創価大学池田記念講堂において、中国・北京師範大学から、副学長を初めとする主要メンバーが来日し、名誉教授章号授与のセレモニーが行われました。
200番目を数える受賞の席で池田SGI(創価学会インタナショナル)会長は、次のように語りました。

  

池田SGI会長

恩師・戸田城聖先生への報恩感謝は当然として、この栄誉を謹んで報告申し上げたい、3人の方がおります。
そのお一人は、中国の周恩来総理閣下であります。
もうお一人は、旧ソ連のコスイギン首相閣下であります。
そしてさらに、お一人は、英国のトインビー博士なのであります。
この20世紀を代表する大歴史家であられる博士との出会いは、私にとって、世界の知性との対話の第一歩、原点となったからであります。


1972年から73年にかけて、ロンドンで行われた2年越し40時間に及ぶ対談。
人類の平和を願い、諸問題解決への方途を探求した2人の対話は、今や人類の教科書として、多くの識者にとって座右の書となっています。
2年越しの対談が終わりを迎えた頃、トインビー博士はSGI会長に語りました。

  

歴史家 アーノルド・J・トインビー博士

私が思うに、あなたは将来、私以上に多くの名誉博士号を受けるに違いありません。


その後、1975年のモスクワ大学からの名誉博士号を第1号として、トインビー博士の言葉通り名誉学位記の受章が続きました。
これまでに池田SGI会長には、世界中の大学・学術機関から、350を超える名誉学位記が贈られています。(2023年12月で、贈られた名誉学術称号は「409」に)

1994年6月15日、池田SGI会長にとって29番目の名誉学位記授与の舞台となったのが、イギリスの名門・グラスゴー大学でした。
イギリスを代表するこの大学での名誉博士号授与式の模様から、その意義に迫ります。

※本記事は、動画の内容を抜粋し記事にしたものです。

大学の発展、学術の発展に貢献した方へ贈られる名誉博士号

グラスゴー大学が創立されたのは、1451年。
現在、イギリスで最も権威ある七大学の一つに数えられています。
また、“古典派経済学の父と讃えられる”アダム・スミス。
蒸気機関の改良で有名なジェームズ・ワットもこの大学が生んだ一人です。

この歴史と伝統を誇るグラスゴー大学と創価大学が学術協定を結んだのは、1989年でした。
それから4年後の1993年。池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に名誉博士号授与の決定通知が届きました。

  

グラスゴー大学 マイケル・モス教授

名誉博士号というのは、グラスゴー大学の発展に貢献された方、または、学術の発展に貢献された方に対して(賞賛の意味を込め)贈られる称号となります。

  

スコットランド日本評議会名誉会長 チャールズ・ブルース伯爵

明らかに、両大学の長い交流に対する、池田博士の御貢献を称えるための名誉博士号であったと理解しております。

  

グラスゴー大学 マイケル・モス教授

そして、日本人がわが大学の名誉博士号を受賞されるということは珍しいケースでもありますし、また特別のケースであると思います。

名誉学術称号授与式

1994年6月15日、グラスゴー大学で最高の式典会場であるビュート・ホールで授与式が行われました。

パイプオルガンが場内に響く中、受賞者たちが堂々と入場。
参加者の温かな拍手に包まれながら、厳かに式典が始まります。
この年の受賞者は世界中から選ばれた10人。
多くの参加者が見守る中、粛々とセレモニーは進みます。
そして、受賞者の最後、池田SGI会長の名が呼ばれます。

  

グラスゴー大学評議会 J・F・マンロー議長

総長に申し上げます。評議会の名をもって、私は、評議会が推挙する池田大作氏に対する名誉博士の学位授与を要請いたします。

  

グラスゴー大学 マイケル・モス教授

推薦をされた方から名前を呼ばれまして、その受賞者はブラック・ストーン・チェアとよばれる椅子に座っていただくことになります。


マンロー議長が「推挙の辞」を述べます。

  

グラスゴー大学評議会 J・F・マンロー議長

池田大作氏は1928年1月2日、東京に海苔生産者の五男として生まれました。
池田氏の人生の方向を決定づけたのは、1947年、戸田城聖氏と出会い、氏の弟子になられたことであります。
戸田氏は、当時まだ揺籃期にあった仏教運動・創価学会の指導者でした。
その思想は、平和への強い希求と、人間の生命を奪うことへの反対に貫かれていました。そのゆえに、学会の指導者たちは、戦時中、日本の当局によって苦しめられ、投獄されたのであります。
創価学会の発展に伴い、池田大作氏の責任とリーダーシップも拡大しました。
1960年、池田大作氏は、戸田城聖氏を継ぎ、第三代創価学会会長に就任。教育・文化を革新する画期的な時代を開始されました。
そのなかで幼稚園から中学・高等学校を、日本の主要都市に開校。また、より高度の教育のために創価大学を創立されたのであります。
芸術の分野では、1963年に民主音楽協会を創立されました。民主音楽協会は世界と日本の文化交流を促進するもので、ロイヤル・オペラやロイヤル・バレエ団などを招へいしています。

1983年には、東京富士美術館を創価大学に隣接して開館されています。 
1991年に、英国が「ジャパン・フェスティバル」を開催した際、私たちは、エディンバラのスコットランド王立美術館において、東京富士美術館の素晴らしい「日本美術の名宝展」を見ることができました。
これは池田氏の力添えによるものであります。

  

スコットランド国立博物館顧問 チャールズ・ブルース伯爵

1991年のこの名宝展から、日本とスコットランドの芸術家の、現在まで続く、強い繋がりが始まったと私は感じています。そして、池田博士が西欧の哲学に非常に造詣が深いということが、何よりも文化・芸術交流の推進に大いに役立っていると思います。

  

グラスゴー大学評議会 J・F・マンロー議長

池田大作氏のダイナミックな活力と創価学会の力は、日本の社会の発展に貢献され、貢献の度合いは、ますます大きくなっております。
また、そのエネルギーは世界に広がっております。 
特に、国際連合の理想と活動に対する、池田氏の様々な支援に対して、多くの政府や団体からおびただしい賞をもって評価されています。
その中には、国連平和賞、国連難民高等弁務官事務所からの人道賞をなどがあります。
また、教育の分野においても、池田氏は同じ国際主義の精神を示され、世界を広く旅して、主要な大学で講演。
現代の社会、政治、環境の問題に関し、仏教者の視点から論じておられます。

総長に申し上げます。
池田大作氏は大きな宗教団体の長であり、国際的な人道主義者であり、世界の文化界の重要な人物であります。
そのうえで本日は、基本的に、氏を教育者として、また、我がグラスゴー大学の友人として、学位の授与を求め功績をたたえたいと思うものであります。

総長に申し上げます。
池田大作氏は、優秀な学者であり、多くの哲学探究の書の著者であり、特に風景をとらえる、優れた写真愛好家であります。
また、若いころから、内面の精神と心情を詩歌という静謐な芸術に表現されてきました。
私の言葉で説明するよりも、池田氏自身の詩の一節のほうが、池田大作という人物をよりよく表せるだろうと信じます。
 滝の如く 激しく 
 滝の如く 弛まず
 滝の如く 恐れず

  

グラスゴー大学評議会議長(当時) J・F・マンロー博士

「滝」の詩ですね。すばらしい詩です。推挙の辞の締めくくりに引用しました。池田博士のすべての詩のなかから、あの一編を選びました。あの詩には池田博士の人となりが凝縮されているように思えました。とくにリーダーシップの資質ですね。

  

グラスゴー大学評議会 J・F・マンロー議長

滝の如く 朗らかに
 滝の如く 堂々と
 男は 王者の風格を持て

総長。
ここにおいて私は池田大作氏に、名誉博士号を授与されるよう要請いたします。


要請を受け、総長(のケアンクロス卿)が名誉博士号の授与をラテン語で宣言。
《本学の名誉博士号を授与いたします》

名誉博士のフードがかけられます。
そして、証書が授与され、惜しみない拍手が場内を包みました。

  

スコットランド日本評議会名誉会長 チャールズ・ブルース伯爵

名誉学位を与える候補者の審査というものは、極めて慎重に行われております。と言いますのは、どのような人物に名誉学位を与えるのかということは、授与する側の大学にとって、現在だけでなく、将来の大学の地位、さらには、大学の権威に大きな影響を与えるからです。

  

モスクワ大学 V・A・サドーヴニチィ総長

博士はモスクワ大学名誉博士号を受章され、後に、名誉教授にもなられております。一人の人がモスクワ大学から二つの最高学位を受章することは、例外的なことです。私は、博士ご自身のご貢献と学術活動、ご著作はこの二つの学術称号に値するものであると考えます。

  

北京師範大学 葛建平副学長

どの大学にとっても名誉学位と言うのは容易に個人に対して授与できるものではありません。いづれも慎重な審議を重ねた上で、初めて池田博士に名誉学位を授与したのであり、長年にわたる世界平和の推進に対する賛同と支持を反映したものであると私は確信します。

  

グラスゴー大学評議会議長(当時) J・F・マンロー博士

世界中の多くの高等教育機関が、池田博士の多くの業績をはっきりと認めているということです。池田博士が成し遂げてきた多くの偉業を思えば、名誉学位記の授与は当たり前のことですし、それ以上、何も言う事はないと思います。