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「人間革命」とSDGs:内面の変革が持続可能な未来を築くカギ  ~ローマクラブ創設者アウレリオ・ペッチェイ博士と池田大作先生の対談集発刊40周年を記念して~

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創価学会員にはなじみの強い「人間革命」という言葉。実はこの言葉が、世界的な学者やリーダーのネットワークであるローマクラブの関係者の間で近年注目されており、毎年の総会などでも話題になっています。

それはなぜなのでしょうか。こうしたテーマが議論されたイギリスでのイベントの様子を紹介したいと思います。

ローマクラブとの共同プロジェクト

2024年10月8日と9日の両日、「今こそ『人間革命』の時!――内面の変革と学び合いで行動を巻き起こそう」とのイベントが、ロンドン郊外のタプロー・コート総合文化センターで開催されました。この会議は、創価学会と世界的なシンクタンク「ローマクラブ」、さらにその提携プロジェクト「フィフス・エレメント」などの協力により実現しました。会議には世界各地から学者、活動家、教育者、青年の代表ら150人が参加し、9日のオンライン配信は450人以上が視聴しました。

  


このイベントは、8月にスタートしたローマクラブと創価学会による協働プロジェクトの一環として開かれたものでした。2024年は、ローマクラブの創設者アウレリオ・ペッチェイ博士と池田大作先生の対談集『21世紀への警鐘』の発刊から40年。また、同クラブによる報告書『限界なき学習――ローマ・クラブ第6レポート』の出版から45年に当たっていました。それを記念してスタートしたプロジェクトでした。

池田先生とペッチェイ博士は5度にわたる語らいを通し、生命そのものの変革、すなわち「人間革命」こそが平和で持続可能な社会を築くカギであるという、共通の理解に達したのでした。

  


まさにこの「人間革命」の意義を、21世紀の今あらためて確認し、またその推進の方途を探りゆくことを目的に、プロジェクトは始まりました。なお、ここでの議論に際しては、一般的な意味での「内面の変革」に着目しています。

SDGsの理念との共通点

プロジェクトの最初の行事として開催された今回のイベント。
会議で基調講演を行ったローマクラブのカルロス・アルバレス事務局長は、ペッチェイ博士が数々の機会を通じて発信したのは、決して悲観的な未来予測ではなく、困難を乗り越えるための探究心の重要性であり、希望のメッセージだったと強調。自他共に幸福を追求できる社会の実現には「人間革命」が必要であると訴えました。

そのほか、学識者や若者代表による世代を超えたパネル・ディスカッションや、グループ・ディスカッションが行われ、活発に議論が交わされました。会場では心に響く即興詩の朗読も行われ、感動を呼びました。対話を基調にイベントが行われた2日間で、「人間革命」という概念が持つ価値がSDGsの理念と多くの共通点を持つことが浮き彫りになりました。

  

対話を通して人間革命の意義について深める参加者

人間と自然の関係性を考える:SDGsへの示唆

対談集のテーマに合わせて、イタリアの核兵器廃絶運動「センツァトミカ」のアリーチェ・フェラリオ氏が「人間と自己」、ローマクラブのメンバーのカリマ・カダウイ氏が「人間と人間」、SGI国連事務所のアレクサンドラ・ゴセンス=イシイ氏が「人間と自然」をテーマに、自身の体験や考察を発表しました。

中でもゴセンス=イシイ氏は、「人間革命」を通じて、一人ひとりが自己と自然とのつながりを再認識し、気候変動や社会的課題への取り組みに新たな視点をもたらす必要性を強調しました。「人間革命のプロセスとは、私たちがケアし、責任を持つ範囲を拡大することです。その結果、人間の関係性だけでなく、自然や環境全体を包み込む意識が育ちます。」と語りました。この視点は、SDGsの包括的かつ統合的なアプローチと一致し、地球全体を視野に入れた行動の重要性を示しています。

  

今こそ『人間革命』の時!――内面の変革と学び合いで行動を巻き起こそう イベントバナー


また、今回参加はできなかったローマクラブ共同会長(当時)のサンドリン・ディクソン=デクレーブ氏は、以前のインタビューで、ペッチェイ博士と池田先生が「エゴ」から「エコ」へ、また「私」から「私たち」への移行を推進する重要性を認識していたことを語り、人間革命がその基盤であると述べています。

SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現のためには、弱い立場にある人や、立場や主張の異なる人、一人ひとりにも目を向ける必要があります。また、人類は時に、自然や環境を自身の幸福のための手段にしてきたわけですが、その限界が明らかになった今、そうした振る舞いの抑制も必要です。

このような点を考えた時、人間の意識の変革、すなわち「人間革命」の重要性が浮かび上がってくるのではないでしょうか。個人の内面の変革を通じて社会全体を変えていくとのアプローチに着目する人は、このように広がりを見せているのです。

未来を変えるカギは、私たちの内面に

発刊から40年を経た今もなお、現代社会が抱える課題への解決の道筋を指し示す同対談集。そのあとがきでは、二人の主張を結論とするのではなく、さらなる対話を受け入れる姿勢を示し、そして、平和のためにともに戦おうと読者へ呼びかけています。

両団体のプロジェクトでは今後2年間にわたり、世界の各地でこうした議論を広げていくことを予定しています。皆さんも、ご自身の立場で考えてみていただければ幸いです。

この記事の取り組みは、以下の目標に寄与することを目指しています。

●目標13.気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

●目標16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

●目標17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。