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第11回「NPT再検討会議」に向けての宗教間共同声明(全文)

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NPT再検討会議の一環として行われた市民社会の意見表明で、宗教間の共同声明が読み上げられた(2026年5月1日、ニューヨークの国連本部で)

  

私たちは信仰をもつ者として、世界の指導者たちに対し、核兵器不拡散条約(NPT)を危機から救い出し、その最も重要な約束である「核兵器のない世界の構築」を果たすよう、連帯して声を上げ呼びかけます。

1970年3月5日、過去数十年にわたる惨禍を経て、NPTは発効しました。この条約は、並外れた約束の上に成り立っています。すなわち、非核兵器国が核兵器を取得しないことを誓約する一方で、核兵器国は第6条の下で、完全な軍縮に向けて誠実に交渉を行うことを約束しています。

56年が経過した現在、この条約の最も根本となる約束は果たされていません。私たちは、NPTが崩壊の危機に瀕し、核拡散の危機が迫りつつあるのを目の当たりにしています。軍縮交渉の義務は先送りされ、希薄化し、そして多くの場合、公然と退けられています。すべての核保有国は、新たな運搬システムと使用のハードルを下げる基本原則(ドクトリン)を用いて、自国の核戦力を近代化しています。条約の道義的権威は、軍縮へのコミットメント(取り組み、関与)の信頼性にかかっています。そして今、その信頼性が危機に瀕しているのです。

今日私たちが直面している緊急性とリスク

 

終末時計が「残り85秒」に設定されている中、私たちはこれまでで最も破滅に近づいています。今日、権力をもつ多くの人々は、すでに私たちが核戦争にどれほど近づいているかを十分には理解していません。私たちが生き延びてこられたのは、私たちのシステムが万全だからではなく、ただ運が良かったからです。そして、国連事務総長が述べたように、運は戦略ではないのです。

このすべての根底にあるのは、人々や国家間の紛争を解決する手段として、暴力や戦争が常態化していることに根ざした精神的な危機です。武力が第一の手段として扱われ、軍事費が人間開発への投資を上回り、すべての人々が安全保障の条件として破滅の脅威を受け入れるよう教え込まれるとき、私たちの道徳的想像力は破綻しているのです。国家間の紛争の最終的な決定者として終末的な暴力を受け入れることは、単なる戦略的な姿勢ではありません。それは精神的な病理であり、私たちが信奉するすべての信仰の伝統が、その名を呼び、嘆き、そして信仰者たちに抵抗するよう呼びかけてきたものなのです。

行動を呼びかける私たちの信仰

 

生命は尊い贈り物であるということは、私たちが、それぞれの多様な信仰の伝統において、共通して抱いている信念です。そして、その偉大な贈り物には、互いを思いやり、私たちに託されたこの素晴らしい地球を大切にするという責任も伴っています。核兵器は、その両方を失敗に導くものであり、互いを守り、すべての生命を育む地球を守るという、私たちの義務に対する裏切りをも意味するものです。

私たちは、真の安全保障は、正義、互いへの配慮、そしていかなる国家の安全も他国の絶滅の上に成り立つことはできないという認識の上に成り立つものであると断言します。私たちは、皆さまの子どもたちや私たちの子どもたちの未来が守られ、絶滅の恐怖が過去の幻影となることを祈っています。

だからこそ、私たちはこの危機の中にあって希望を抱いています。この世代の選択によって、核のエスカレーションがもたらす結末が、未来の世代に持ち越されるか、それとも私たちの時代で食い止められるかを決定づけることができるという、大いなる確信に裏付けされた希望です。

世界の指導者たちへの呼びかけ

 

私たちは世界の指導者たちに対し、緊急かつ拘束力のあるコミットメントとしてNPTの精神を再確認するよう求めます。私たちは、NPT締約国間の分断がいかに深いものであるかを認識しています。しかし、私たちは停滞を受け入れることを拒否します。私たちは、各国が、それぞれの固定化された立場を越えて真の対話に取り組み、私たちが共に生き残るための共通基盤を見いだすことを呼びかけます。課題は山積みで、複雑です。それでもなお、私たちは、指導者たちが新たな核の惨劇を防ぐ勇気をもっていると希望を抱いています。

第11回NPT再検討会議に際し、私たちは指導者たちに対し、何よりもまず二つの約束を守るよう求めます。

第一に、言葉だけでなく行動によって、第6条へのコミットメントを再び確約することです。すなわち、検証可能な削減、新たな核弾頭開発の一時停止(モラトリアム)、そしてすべての核保有国を含めた交渉の再開です。NPTの「グランド・バーゲン」(大いなる取引)は、その半分が永遠に先送りされるのであれば存続できません。

第二に、核政策の中心に人間の安全保障を据えることです。核兵器に関する決定は、国家の安全保障だけに基づくのではなく、すべての人々が共有する安全保障に基づくものでなければなりません。

信仰、良心、そして真に包摂的な平和へのコミットメントは、被爆者、風下住民(核実験等による放射性降下物〈死の灰〉による被ばく者)、そして核兵器がもたらす苦痛を経験し、その証人となってきた世界中のすべてのコミュニティーの声を私たちが携えていくことを義務づけています。私たちは、絶滅の脅威が揺りかごの上にのしかかることのない世界を受け継ぐにふさわしい子どもたちの希望を携えているのです。

私たちは、皆さまを祈りの光で包みます。そして、皆さまの子どもたちや私たちの子どもたちにとって、より良い未来への道標となるよう祈ります。皆さまには、核兵器のない世界を創り始める力があります。私たちは、皆さまにその力を使うよう求めます。