2024.09.06
東北学生部主催シンポジウム「東北学生ミーティング」を仙台で開催
公開日:
東北創価学会による「心の福光プロジェクト」の第1弾として、“心の復興”と学問のあり方について考える東北学生部主催のシンポジウム「東北学生ミーティング」が2012年6月16日、仙台市のせんだいメディアテークで開催された。
東北大学大学院の安田喜憲教授が基調講演を行い、学生代表4人が報告。
宮城教育大学教育復興支援センターの阿部芳吉特任教授が講評を述べた。
続いて、「震災後の学問のあり方」をテーマにパネルディスカッションが行われ、生命尊厳の思想に基づく新しい発想と想像力、“何のため”との大局観に貫かれた学問探究の姿勢の重要性を確認し合った。
ここでは、基調講演と講評の要旨を掲載する。
【基調講演】
東北大学大学院 教授 安田喜憲氏
英国の歴史家トインビーはオックスフォード大学で、ギリシャの歴史家ツキディデスの『歴史』の講釈をしていました。その最中、1914年に第1次世界大戦がヨーロッパで勃発したのです。そして世界が戦争の渦に巻き込まれようとしているその時代は、2300年前にツキディデスがペロポネソス戦争の歴史を書いたその時代と、同じだと考えた。2300年前に生きたツキディデスも、同じ不安、脅威、恐怖、危機を感じていた――その「同時代性の発見」が大著『歴史の研究』を書くきっかけとなったのです。
そのトインビーがなぜ、池田名誉会長に対談を申し込んだのか。3・11の震災が起こって初めて、その人類史的な意味が分かってきました。それは、日蓮大聖人の時代にまでさかのぼります。日蓮大聖人が生まれた当時、鎌倉で大地震が起こります。日蓮大聖人は1260年に、「立正安国論」をだされますが、これは3年前に起こった正嘉の大地震の惨状を書いたものです。
大災害の時に一番苦しみを味わうのは庶民です。その庶民の苦しみを見るに見かねて、「立正安国論」を執筆した。弱い者の立場でものを考える。これが「立正安国論」の根底をなすものです。
学問もまた、弱者の視点に立ってやらなければいけない。それが「立正安国論」の教えであり、創価学会の教えです。皆さんの両親の世代がしてきたことであり、次代を担う皆さんが目指すべき学問の姿勢であると思います。日蓮大聖人が生きた時代と今の時代は、まさに「同時代」です。大きな地震が起こり、多くの庶民が塗炭の苦しみを味わっている。政治は混乱している。危機の時に民衆が苦しむという構図は、全ての時代に共通しています。そうした時に、新しい科学によって新しい文明の時代を志向していくのです。
これからは『本当の豊かさとは何か。本当の幸せとは何か。生きることとは何か』が問われなくてはいけない。科学をやっているということ、技術を開発しているということが、実際に人々のためになっているのか。社会のため、地球のため、文明のために、どうなのかということを裏付ける倫理や哲学をもつことが重要なのです。私は、創価学会に所属している学生たちが一つの大きな力を果たすと考えます。それは何よりも、技術論に走っていないからです。基本となる生命の尊厳、哲学、倫理というものをきちんと理解しているからです。池田名誉会長は、春のこない冬はないとおっしゃられています。困難に直面しているということは、新しい未来があるということです。今、東北は3・11で大きな困難に直面していますが、それは新しい未来への一里塚なのです」
【講評】
宮城教育大学 教育復興支援センター 特任教授 阿部芳吉氏
本日、4人の学生が発表した報告に関して、講評を3点にまとめました。
1点目は、「挑戦心がある」ということです。皆さんは、若者らしいダイナミックさ、社会貢献の気概に満ちあふれている。このような人がたくさんいれば、日本は大丈夫だと感じました。
2点目は、「創意工夫がある」ということです。4人とも、新しいものを生みだそうと努力している。これからも、ぜひ正々堂々と、若者らしく、新鮮なアイデアで勝負していってほしいと思います。しかし、アイデアだけを追い求めても新しい発想は生まれません。大事なことは、やはり、基礎・基本の研究です。“人間とは何か”“生きるとはどういうことか”――目の前にある、簡単なようで難しい問題についても大いに考えながら、今後も、創意工夫して、挑戦してほしいと思っています。
3点目は、「若者らしく汗をかいている」ということです。学生時代に何かに夢中になることは重要です。心に年は取らせず、いつまでも青年の気持ちで真っすぐに生きていってください。
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