今を生きるあなたに ~日蓮大聖人のことば~ 「いかなる病さわりをなすべきや」

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自ら筆をとり、多くの門下に手紙を書き送られた日蓮大聖人。
希望と励ましに満ちた手紙の中から、今を生きるあなたに届けたい「日蓮大聖人のことば」を紹介します。

語り手は、女優の岸本加世子さんです。


言葉ほど、不思議なものはありません。

すぐ消えてしまう言葉もあれば、何十年、何百年たっても、心を打つ言葉があります。

700年以上も前に書かれた日蓮大聖人のお手紙。そこには、門下の一人ひとりに寄り添い、幸福の道を、と願う希望と励ましのことばがつづられています。

日蓮大聖人が権力から不当に弾圧され、佐渡に流されていた時のことです。

鎌倉の門下から御供養とともに届けられた便りには、経王御前という幼子が病に苦しんでいると記されていました。

大聖人はすぐさま筆をとられます。

  

経王御前のこと、二六時中に日月天に祈り申し候。
(経王殿御返事 御書新版1632㌻・御書全集1124㌻)

※二六時中:(昔の時刻は一日を昼夜それぞれ六等分したことから)一日中。終日のこと。


「経王御前のことを、いつも祈っていますよ」と、つづられています。ご自身も命に及ぶ迫害に遭いながら、一人の幼子のことを懸命に祈り抜くそのお姿に、深い真心を感じてなりません。

医学が発達していない時代、幼い子が病気になるということは、どれほど深刻なものだったでしょう。親である門下は、どれほど嘆き悲しんだことでしょう。

大聖人は、門下の苦しみに寄り添いながら、強き祈りがあれば、一切を幸福へと転じていけることを教えられています。

  

南無妙法蓮華経は師子吼のごとし、いかなる病さわりをなすべきや。
(経王殿御返事 御書新版1633㌻・御書全集1124㌻)


南無妙法蓮華経の題目は師子が吼えるようなものです。師子の声を聞けば、あらゆる獣が逃げ去るように、確信の題目を唱えていけば、どんな病気も、幸せへの道を妨げることはできません。

さらに、題目を唱えていく上で大切な信心の姿勢を教えられます。

  

ただし御信心によるべし。つるぎなんども、すすまざる人のためには用いることなし。法華経の剣は、信心のけなげなる人こそ用いることなれ。鬼にかなぼうたるべし。
(経王殿御返事 御書新版1633㌻・御書全集1124㌻)


「けなげ」とは「勇気」のこと。臆病であっては、どんな剣も役に立ちません。法華経の剣は、勇気ある信心の人が使ってこそ、本来の力を発揮するのです。まさに「鬼に金棒」です。

  

経王御前には、わざわいも転じて幸いとなるべし。
(経王殿御返事 御書新版1633㌻・御書全集1124㌻)


病気という災いでさえも、必ず幸福に転じていくことができるという励ましです。

病気にならない人はいません。病気だからといって不幸なのではありません。病気に負けてしまうことが不幸なのではないでしょうか。

たとえ病気であったとしても、師子のように強く、前向きに生きるならば、決して崩れない幸福境涯を築いていけるのです。

池田先生は次のように語られています。

  

師子吼の題目を唱える人は、絶対に行き詰まることはない。
師子王が吼えれば、百獣は恐れおののく。そのように、あらゆる魔性を破ることができる。病魔も破ることができる。
全宇宙の諸天善神が私たちの味方となるのだ。何も心配はいらない。何も恐れる必要はない。
(中略)
偉大なる仏の力がみなぎれば、障魔に負けるわけがない。
(各部代表者会議でのスピーチ・聖教新聞2008年12月29日付)


いかなる苦難にも、勇気の題目で挑んでいく――
日蓮大聖人の励ましの言葉は、今を生きる私たちの心にも強く響いてきます。