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今を生きるあなたに ~日蓮大聖人のことば~ 「さいわいは心よりいでて我をかざる」

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自ら筆をとり、多くの門下に手紙を書き送られた日蓮大聖人。
希望と励ましに満ちた手紙の中から、今を生きるあなたに届けたい「日蓮大聖人のことば」を紹介します。

語り手は、女優の岸本加世子さんです。


人生は、悩みの連続です。

ある時は家庭や人間関係で悩んだり、ある時は仕事や恋愛がうまくいかなかったり。「幸せなことがずっと続けばいいのに」と、思うこともあるでしょう。

悩みが絶えない人生だからこそ、“悩まない”ことよりも“悩みをどう乗り越えるか”が大切です。心が変われば、同じ状況であっても、希望を抱いて生きることができます。

鎌倉時代。日蓮大聖人の門下に、「おもんすどのの女房」という女性がいました。

彼女は娘を病気で亡くしています。娘は生前、何度も大聖人に手紙を送り、若い身でありながら、最後まで信仰を貫いて旅立ちました。

娘を失い、おもんすどのの女房は、母としてどれほど深い悲しみに包まれたことでしょうか。

しかし、大聖人からの励ましのお手紙を抱きしめ、娘の分まで生き抜こうと誓い、悲しみに負けずに信仰を貫いていきました。

そして、娘との別れから数年がたち、新年の節目に当たり、新たな決意を込めて、大聖人に御供養をお届けしたのです。

  

大聖人は、その真っすぐな信心を最大に讃え、「仏とはどこか遠くにいるのではなく、貴女の心の中にいらっしゃるのです」と、真心のお手紙を送ります。

このお手紙には、万人の生命に具わる仏の境涯について綴られていました。

当時、彼女たちが住む駿河国では、領主から大聖人門下に厳しい目が向けられており、おもんすどのの女房にも、圧迫が及んでいたのです。

苦境に立つおもんすどのの女房に対し、大聖人は、苦しみに囚われた「地獄」の境涯も、どんな悩みにも負けない力強い「仏」の境涯も、自分の外にあるのではなく、すべて私たち自身の心の中にあるのだと教えられました。

  

蓮はきよきもの、泥よりいでたり。
(十字御書 御書新版2037㌻・御書全集1492㌻)


清らかな蓮の花は、泥の中からつぼみを伸ばし、咲き誇る。

  

さくらはおもしろき物、木の中よりさきいず。
(十字御書 御書新版2037㌻・御書全集1492㌻)


美しい桜も、ゴツゴツとした木の中から咲き薫る。

同じように、誰人の中にも尊い仏の境涯が具わっています。ゆえに、蓮が泥の中から花を咲かせるように、どのような厳しい状況にあっても、必ずそこから幸福を生み出すことができるのです。

おもんすどのの女房は、この励ましにどれほど勇気づけられたことでしょうか。

  

さいわいは心よりいでて我をかざる。
(十字御書 御書新版2037㌻・御書全集1492㌻)


大聖人は、その「幸福」は、どこか遠くからやってくるものでも、誰かから与えられるものでもなく、私たちの心が生み出すものであると仰せです。

その”心”さえ崩されなければ、環境や周囲がどうあれ、幸福を壊されることはありません。

逃れ難い苦しみや悩みの中にいても、必ず幸福を生み出していくことができる。むしろ、悩みが深ければ深いほど、幸福になれる。

一番苦しんだ人が、一番幸せになれるのが仏法なのです。

池田先生は次のように語っています。

  

幸福を生み出していく力とは、どこか遠くにあるのではありません。私たち自身の「心」にあります。信心とは、この「心」を、限りなく強く、賢く、豊かに輝かせていく光です。それは、自分を幸福にするだけでなく、父も母も、友も皆も、人類までも、幸福へと照らしていける太陽です。
(中等部結成50周年大会でのスピーチ・聖教新聞2015年1月14日付)


自らの心で幸福をつくりだし、その力で周囲の人をも幸せにしていく。

日蓮大聖人のことばは時代を超え、今を生きる私たちに希望の光を送り続けています。