NPT再検討会議準備委員会 SGIがカザフスタン等と核実験の人道的影響を巡り関連行事

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旧セミパラチンスク核兵器実験場の核被害者が登壇

  

2026年のNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に向けた第1回準備委員会が、オーストリアのウィーン国際センターで行われている。2023年8月1日(現地時間)には関連行事として、在ウィーン国際機関カザフスタン共和国政府代表部と同国の国際安全保障政策センター、SGI(創価学会インタナショナル)が共催して、「カザフスタンにおける核実験の壊滅的な結末――当事者が語る歴史」と題したイベントが開かれた。

  

SGIと在ウィーン国際機関カザフスタン共和国政府代表部等が開催した関連行事(1日、ウィーンで)

  

かつてカザフスタンには、複数の核兵器実験場が存在した。その一つ、旧ソ連最大の実験場だった旧セミパラチンスク核実験場では450回を超える核実験が繰り返され、150万人に被害が及んだとされる。現在も多くの人々が後遺症などに苦しむ。
 
グローバル・ヒバクシャ(核実験やウラン採掘などで被害を受けた世界の人々)については、まだ広く知られていない。世界各地で苦しむ核被害者の実相について、さらに発信していくことが求められている。
 
核実験の人道的影響をテーマに開催されたイベントでは、カザフスタンから駆けつけたドミトリー・ベセロフ氏が登壇した。
 
旧セミパラチンスク核実験場の近郊で生まれたベセロフ氏は、自身が核実験の影響を大きく受けていると語り、病気にかかりやすいなど、現在も生活に支障を来すほどの健康被害に悩んでいると述べた。「私は決して絶望しません。自身の体験を語ることで、核兵器の危険性を伝える一助としたいのです」。氏が話し終えると、真剣な面持ちで聞いていた参加者から、大きな拍手が送られた。
 
同イベントでは、カザフスタンの核被害者の証言をまとめた映像の一部を紹介。国際安全保障政策センターのアリムジャン・アフメトフ氏、寺崎SGI平和運動総局長があいさつ。カザフスタン共和国外務省のアルマン・バイスアノフ国際安全保障局長は、国際機関や市民社会、青年たちと協力し合いながら、核兵器廃絶への具体的な行動を起こしていきたいと述べた。
 
ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のアリシア・サンダース=ザクレ政策・研究コーディネーターが、各地で行われてきた核実験の、人への影響は、身体的被害だけでなく、精神的・社会的被害も伴うと強調。核兵器禁止条約の第6条(被害者援助と環境の修復)と第7条(国際協力および援助)の重要性を訴えた。
 
最後には、活発な質疑応答が行われた。参加者は改めて核実験による被害の大きさを胸に刻み、核兵器なき世界の実現に向けての決意を新たにした。
 
また準備委員会の初日である7月31日、寺崎総局長が同委員会のビーナネン議長に、池田大作先生のG7サミットに寄せた提言を手渡した。