「源氏物語」展が東京富士美術館で開幕

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開館40周年記念展示、3月24日まで
国宝や重要文化財含む120点

  

〈源氏物語小色紙宿木〉 12世紀 個人蔵 初公開


東京富士美術館(八王子市)の開館40周年を記念する特別展「源氏物語 THE TALE OF GENJI――『源氏文化』の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで」が2024年2月24日、同美術館で開幕した(3月24日まで)。
 
「源氏絵」を中心に『源氏物語』や紫式部に関連する美術や工芸、文学作品を全5部構成で紹介。国内48カ所の所蔵元から国宝1点、重要文化財7点を含む約120点を出品している。
 
平安時代中期、一条天皇の后・彰子に仕えた紫式部が執筆した『源氏物語』は、日本の古典文学を代表する長編小説。主人公・光源氏を中心に、華やかな貴族社会の内実が叙情豊かに表現された。
 
物語は広く愛読され、「源氏文化」と称されるほど、文学、絵画、工芸、芸能など幅広い分野に影響を及ぼした。
 
とりわけ、物語の場面を題材とした「源氏絵」は、流派や時代を超えて多くの絵師によって絵巻や冊子、扇、色紙、屏風などに描かれている。

  

〈紫式部図〉 尾形光琳 18世紀 MOA美術館蔵 重要美術品


第1部「『源氏物語』とその時代」では、平安時代の美術・工芸品とともに、模本や再現された装束等を展示。中でも、初めて一般公開される「源氏物語小色紙宿木」は注目の一つ。近年、新たに発見された平安時代の貴重な作品で、国宝「源氏物語絵巻」に通じる人物や室内空間の描写を堪能できる。
 
第2部は「あらすじでたどる『源氏物語』の絵画」。54巻にわたるストーリーに沿って制作された、画帖や絵巻、色紙形式の多様な「源氏絵」を楽しめる。
 
第3部「『源氏物語』の名品」では、物語の場面を大画面に描いた屏風作品や漆芸品などを出展する。
 
第4部は「近代における『源氏物語』」。明治以降に描かれた「源氏絵」が並ぶ。与謝野晶子と谷崎潤一郎による現代語訳本の装丁・挿画も展示する。
 
エピローグ「現代に蘇る『源氏物語』」では、現代における「源氏文化」の様相を探る。
 
同展は、紫式部と『源氏物語』の世界観を楽しむ、またとない機会となろう。
 
なお、同時開催されている東京富士美術館開館40周年記念展示「平和と文化の架け橋 富士美40年の軌跡」は6月23日(日)まで(展示替え休館日を含む)。

  

「源氏物語」展が開幕した24日、東京富士美術館は多くの来館者でにぎわった


【「源氏物語」展】
▽会期=前期は2月24日(土)~3月10日(日)。後期は3月12日(火)~3月24日(日)。月曜休館。
※前期・後期で作品の一部入れ替えがあります。
▽開館時間=午前10時~午後5時(入館は同4時30分まで)。
▽入場料=一般1500円(1200円)、大学・高校生900円(800円)、中・小学生500円(400円)。未就学児は無料。土曜は中・小学生無料。カッコ内は20人以上の団体、65歳以上の方、東京富士美術館のLINE公式アカウント登録者等の各種割引料金。

※展示の詳細は、東京富士美術館のホームページを参照してください。