2025.10.25
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イタリア・ローマの宗教間国際会議の分科会で学会代表が発表
公開日:
「死刑制度の廃止」巡り活発に意見交換
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イタリアの首都ローマで開催された国際会議「平和への果敢な挑戦」(主催=聖エジディオ共同体)の関連行事である分科会が、2025年10月27、28の両日(現地時間、以下同)に行われた。このうち、「正義は人を殺さない――死刑制度の廃止に向けて」と題する分科会(28日)では、会議に参加した学会派遣団を代表して、イタリア創価学会のエンザ・ペレキア氏(ピサ大学教授)が登壇した。

今年で39回目を迎えた、聖エジディオ共同体が主催する宗教間の国際会議。関連行事である分科会が2日間にわたって開かれた後、ローマ教皇レオ14世が出席して閉幕式が行われ、学会派遣団の寺崎副会長が教皇とあいさつを交わした。
聖エジディオ共同体は、ローマに本部を置くカトリック系の信徒団体。1968年にローマで、若者を中心に始めた人道支援活動を創設の淵源とする。貧困者支援やアフリカでの和平協定の仲介など、国際的な社会貢献活動を展開し、創価学会とは10年以上にわたって、平和への取り組みや宗教間対話などを共にしてきた。
長年の協働が始まったきっかけの一つが、死刑制度廃止のための運動である。同共同体では98年から、死刑執行の停止を求める署名を開始。その一環として、イタリア創価学会も同国での署名を強力に推進した。最終的に世界から集められた約500万筆の署名は、2007年に国連に提出された。
現在、死刑制度をすでに廃止、または過去10年間に執行がないなど事実上廃止している国は、140以上。一方で、制度を存続させている国は50を超える。市民社会の声を後押しに、制度廃止を巡る議論の潮流が水かさを増す中、分科会の一つが「正義は人を殺さない――死刑制度の廃止に向けて」をテーマに開催された(28日)。
「死刑廃止世界連盟」創設者の一人である聖エジディオ共同体のマリオ・マラッツィーティー氏の進行で開会。最初に登壇したのが袴田秀子さんである。
1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で袴田さんの弟・巌さんが冤罪で逮捕・起訴され、死刑判決を受けた。58年を経た2024年、やり直しの裁判(再審)で無罪が確定した。袴田さんは、巌さんの経験が、この世界から死刑制度や冤罪がなくなることにつながるよう切に願うと訴え、多くの人々の支援に感謝の意を表した。
その後、世界メソジスト協議会のデブラ・ウォレス=パジェット会長らが登壇。学会からは、イタリア創価学会のエンザ・ペレキア氏(ピサ大学教授)が発表に立った。
ペレキア氏は、池田大作先生がイギリスの歴史家トインビー博士との対談で語った言葉を通して、仏法を基調とする生命観について次のように語った。
生命の尊さは罪や功績によって評価されるものではなく、平等である。故に、正義の名のもとであっても生命を奪う権利は誰にもない。死刑を容認するのは、生命の価値に差をつける制度化された暴力の一形態であり、池田先生がそれを「現代における生命軽視の風潮」の現れであると述べている――と。
また、ペレキア氏は、人を罰するのではなく、忍耐強く良心を呼び覚ましていく創価学会の活動の根幹に人間の可能性への信頼があると述べ、それは死刑に依存する思考とは対極の価値観であると強調。“死刑を必要としない社会を実現させるために、慈悲の精神がすべての人々に行きわたり、確立されることが望まれる”との池田先生の言葉を紹介し、この精神が文化・政治・司法といった社会全体に浸透してこそ、真に命を守る社会に生きることができると訴えた。
分科会の後半には、参加者との活発な質疑応答も行われた。
3日間にわたった国際会議の会期中、学会派遣団は、世界50カ国から集った各宗派の参加者と、平和への語らいを広げた。
寺崎副会長、イタリア創価学会のアプレア会長らは27日、元ローマ教皇庁大使として長年、核兵器廃絶のために力を尽くしてきたシルヴァーノ・トマーシ枢機卿、宗教間の対話や活動の推進を担う教皇庁「諸宗教対話省」次官のインドゥニル・コディトゥワック神父と、ローマ市内でそれぞれ懇談した。

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