自律型兵器の法規制を目指して ニューヨークで国連関係者を招き展示会

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SKR(ストップ・キラーロボット)、アムネスティ・インターナショナル、SGIが主催

  

自律型兵器システムの問題に関する展示会。映像や参加型のコーナーもあり、自動化による危害に警鐘を鳴らすなど、わかりやすく伝えた(ニューヨーク市内で)©Alexander Bitar

  

人による有意の制御なしに機械が標的を定め、攻撃する「自律型兵器システム」の問題への理解を深める展示「オートメーティド・バイ・デザイン(仕組まれた自動化)」が、このほど完成した。その開幕イベントが2023年10月13日(現地時間)、国際ネットワーク「ストップ・キラーロボット(SKR)」、アムネスティ・インターナショナル、SGI(創価学会インタナショナル)の共同主催により各国の外交官、国連関係者、市民社会の代表を招いてアメリカ・ニューヨーク市内で行われた。

  

「自動化による危害」に警鐘

  

たとえば、顔認証。よく似た外見の別の人物を、機械が同一と認識するケースがある。犯罪捜査で用いれば、誤認逮捕につながってしまう。

たとえば、医療。AI(人工知能)による診断は有用だが、未知の症例への対処など医療ミスの危険もある。人間の判断が不可欠となるゆえんである。

本来、全ての人間のためにある科学技術だが、エラーもある。それが人を殺傷することに使われたら、どうなるか――。この7月、グテーレス国連事務総長は「新たな平和への課題」の中で、人の制御や監視なく機能し、国際人道法の下で使用できない自律型致死兵器システムを禁止する法的拘束力のある文書について、2026年までに交渉をまとめることを求めた。

現在行われている国連総会第一委員会においても、幾つもの国から自律型兵器または自律型致死兵器の問題が提起された。さらに、オーストリアが国連総会で自律型兵器システムに関する初の決議案を提出している。

この問題を、わが事として危機感を持てるよう制作されたのが今回の展示である。「デジタルによる非人間化」「自動化による危害」という広がりのある文脈を示し、その極端な例として「キラーロボット」とも呼ばれる自律型兵器システムを挙げている。自律型兵器がいかにして立ち現れてきたか、古代から近代に至る歴史をたどるほか、機械による標的の選別がいかに不正確で非人間的な結末をもたらすかを示すなど、若い世代にもアピールする内容となっている。

  

ニューヨーク市内で行われた開幕イベントから

  

開幕イベントでは、制作に当たった「アイデンティティ2・0」の代表から“自分たちには関係ない、未来のこと”と受け止められ機械的な議論になりがちな中、そこに人間がいるのだということを強調した展示内容について説明があった。

その後、主催団体があいさつ。

アムネスティ・インターナショナルからは、ヴェリティ・コイル・シニアキャンペイナー兼アドバイザーが登壇。相島SGI平和運動局長は、自他の生命を尊重し、永続的な平和に取り組む仏教者として、草の根の意識啓発に尽力していきたいと述べた。

展示会場でストップ・キラーロボットのイザベル・ジョーンズ・キャンペーン・アウトリーチ・マネジャーは語った。

「私たちは自律型兵器システムが強い道徳的・法的規範によって規制されるよう行動を起こす人々の心に火をつけたいのです。この問題が、なぜ私たちに影響を与えるものなのか、友人や家族、信仰のコミュニティーやネットワークと共有できることを願っています。それは私たち全ての社会に影響を与えるものだからです」

  

開幕イベント等を紹介するSGI国連事務所のインスタグラムはこちら

ストップ・キラーロボットのウェブサイトはこちら
※いずれも英語