核兵器の廃絶と気候危機の打開へ「未来アクションフェス」 SGIユースとして参画

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全国から約7万人が来場した「未来アクションフェス」。“諦め”から“挑戦”へ、“悲嘆”から“希望”へ、時代を変革しゆく主体者こそ青年!――核兵器の廃絶や気候変動を巡り混迷を深める世界にあって、未来を開くために身近な行動から始めようとの決意を共にした(東京・国立競技場で)

  

今、ここから、持続可能な未来への行動を――核兵器や気候危機の問題解決を目指す、若者・市民団体の協働によるイベント「未来アクションフェス」が2024年3月24日、東京・国立競技場で盛大に開催された。約7万人が来場し、ライブ配信では約50万人が視聴。これには、創価学会青年部が「SGI(創価学会インタナショナル)ユース」として参画した。

イベントでは、アーティストがパフォーマンスを披露し、国連広報センターの根本かおる所長らが、核兵器や気候変動をテーマにトークセッション。約12万人から回答が寄せられた「青年意識調査」の結果を踏まえた実行委員会による共同声明が発表された。国連大学学長・国連事務次長のチリツィ・マルワラ氏がスピーチ。各界の来賓と共に、原田会長、長谷川理事長、永石女性部長らが参観した。

  

今、ここから、持続可能な未来への行動を

  

手を携えて、平和な世界をつくろう――さまざまな団体が協力して行われた未来アクションフェス。持続可能な未来へ、差異を超えた青年たちの連帯を広げゆく

  

世界が直面する重大な課題への協力の強化と、SDGs(持続可能な開発目標)のさらなる推進を目指す国連の「未来サミット」が、2024年9月にアメリカ・ニューヨークの国連本部で初めて開かれる。
 
サミットでは、国や国際的な枠組みにおける若者の意思決定への参画が議論の柱の一つであり、若者が主体的に参画し、その声で国際社会を動かしていくことが期待されている。
 
未来サミットの開催に先駆けて行われたのが、若者・市民団体が協働した今回の「未来アクションフェス」である。
 
実行委員会は、核兵器や気候変動などの問題に対する若者の声を結集し、国連等に届けるために「青年意識調査」を実施。創価学会青年部も「SGIユース」として意識調査の推進に力を注いできた。
 
創価学会は長年、こうした地球的課題に対して、池田大作先生のリーダーシップのもと、対話を中心とした草の根レベルでの意識啓発運動や、国際会議への参加、提言等を推進。今回もそうした活動の一つであり、若者・市民団体と連帯しながら行動を続けている。

  

国連ユース担当事務次長補のフェリペ・ポーリエ氏、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)事務局長のメリッサ・パーク氏がメッセージ

  

その後、国連ユース担当事務次長補のフェリペ・ポーリエ氏、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)事務局長のメリッサ・パーク氏からのビデオメッセージが紹介された。この中でポーリエ氏は、今こそ気候変動などの地球的課題に一丸で挑み、勇気の行動を共に起こそうと強調。パーク氏は、若者の声で人々の意識を高め、核軍縮の流れに導こうと呼びかけた。
 
約12万人から集められた「青年意識調査」の結果発表に続き、「国連広報センター」所長の根本かおる氏、「グリーンピース・ジャパン」シニア政策渉外担当の小池宏隆氏、「カクワカ広島」共同代表の高橋悠太氏、「GeNuine」共同創設者の徳田悠希氏がトークセッション。「私たちの地球を守るために」等のテーマで意見を交わした。
 
次いで、実行委員会を代表して西方光雄(SGIユース)、室橋祐貴(日本若者協議会)、堀口美幸(Youth for TPNW)、田中美穂(カクワカ広島)の各氏が、青年意識調査の結果を踏まえた共同声明を発表。国連大学学長・国連事務次長のチリツィ・マルワラ氏に手交されると会場から大きな拍手が起こった。

  

国連大学学長・国連事務次長のチリツィ・マルワラ氏がスピーチ

  

スピーチするマルワラ氏

  

スピーチに立ったマルワラ氏は、地球的課題の解決において、若い人々は希望の光であり、変革を推し進める動力であると強調。持続可能な未来をつくり上げ、平和な世界の実現に向けて共に努力していきたいと述べた。

  

SGIユースがブースを出展

  

  

国立競技場の場外には協力団体・後援団体等によるブースが設置され、SGIユースも出展した。

展示では、広島県と長崎県の被爆者の証言などをパネルと映像で紹介。SGIユースの取り組みである青年不戦サミットや意識調査等の模様を通し、生命尊厳の哲学を伝えた。
 
山口県から来た女性は、「小学生の時に広島平和記念資料館に行きましたが、大人になった今、改めて見学したいと思いました。無関心や諦めに対し、私にできることを見つけたいです」と述べた。

  

意識調査の結果発表 約12万人の青年が回答

  

青年の声が希望の未来を築く力――未来アクションフェスの席上で「青年意識調査」の結果が発表された

  

「未来アクションフェス」の席上、実行委員会が実施した「青年意識調査」の結果が発表された。グローバルな問題などに対する若者の率直な声を聞いたもので、2023年11月20日から2024年2月29日まで、日本在住の40代以下の個人を対象として、WEBや対面でのアンケート調査の形式で行われ、合計で11万9925人が回答した。
 
質問には、「社会について」「気候変動について」「核兵器について」「青年と社会構造、国連について」の項目が設けられた。
 
“社会をより良くするために貢献したいと思うか”との問いに、9割超の人が貢献したいと考える回答を寄せた。
 
“核兵器は必要か”との設問には8割以上が「必要ない」と答えた。国連の必要性を問う質問では8割を超える人が必要性を感じているとの認識が示された。

  

共同声明を発表 ユース理事会、安全保障理事会改革委員会等の設置を提案

  

未来アクションフェス実行委員会を代表して、SGIユースの西方氏、日本若者協議会の室橋氏、Youth for TPNWの堀口氏、カクワカ広島の田中氏が共同声明を発表。国連大学のマルワラ学長(国連事務次長)に手交された

  

今回発表された共同声明は、「青年意識調査」に寄せられた声を踏まえ、2024年9月に国連で行われる「未来サミット」の議論の促進に貢献するためのもの。主に四つの柱で構成される。

第一に「気候危機の打開のために」。「パリ協定」(2016年発効)で掲げられた世界の平均気温の上昇を、産業革命以前と比較して「1・5度以内」に抑える目標の達成に向けて、国連加盟国が定める温室効果ガス排出削減目標の引き上げ、再生可能エネルギーの導入容量3倍、エネルギー効率改善率2倍を目指した取り組みの推進を呼びかけるとともに、「気候正義」の観点から、気候危機の被害に見舞われるコミュニティーや市民への早急かつ適切な支援の提供を要請している。

第二に「核兵器なき世界の実現のために」。「核兵器禁止条約」の署名・批准国の拡大の推進、第3回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求めつつ、グローバル・ヒバクシャ(世界の核被害者)の経験を共有・継承する“核軍縮教育の推進の場”として、国連での第4回軍縮特別総会の早期開催を訴えている。

第三に「意思決定プロセスへの若者の参画のために」。国や地方レベルで、若者の意見を集約・協議する「若者議会」の設置、ジェンダーバランスのとれた意思決定プロセスの構築を提唱するとともに、地球的課題の解決に向けて、若者団体が持続可能な活動を推進するための「ユース基金」の創設を望んでいる。

第四に「国連改革のために」。国連のユース・オフィスを中軸として、若者の声を国際社会に届ける「ユース理事会」の創設を求めつつ、国連事務総長のもとに「安全保障理事会改革委員会」の新設を呼びかけている。