能登半島地震の被災地で奮闘する友 石川・七尾市

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地域のために奔走

  

昼夜を分かたず地域のために奔走する岡田さん㊨。日頃、給水活動を行っている駐車場を、石川総県の按田男子部長が訪れ、心からねぎらった(20日、七尾市内で)

  

道路の寸断や断水が続いている石川県七尾市。ここにも地域・社会の支えになろうと奮闘する友がいる。
 
和倉温泉のある地域で水道業に勤務する岡田さん(能登中央圏、男子部本部長)は、自身も被災しながら日々、給水活動や断水状況の確認に奔走。ボランティアで炊き出しも手伝っている。
 
2024年1月1日、新年勤行会から帰宅後に被災した。家は屋根の瓦が落ち、壁も破損。道路に亀裂が走るのも目の当たりにした。その後、地域の人たちを必死の思いで公民館へ避難誘導。睡眠もままならない状況で、三日三晩、炊き出しや支援物資の搬入などに率先した。
 
岡田さんは11年前に現在の地に越して以来、石川音楽隊で薫陶を受けてきた。町内会では事務局長を務め、数年前には防災士の資格を取得した。
 
「『社会で世界で勝利する創価の世雄たれ!』との音楽隊の指針を胸に、いざという時、とっさに対応できる自分でありたいと思っていました」
 
発災以降、給水車の配備計画や断水の確認作業に追われる岡田さんに代わり、男子部の仲間がメンバーの安否確認に動いてくれた。リーダー同士で密に連携し、その状況を共有。聖教新聞の記事を活用して励まし合っている。「同志との絆をさらに強め、変毒為薬の実証を示していきます」と岡田さんは前を向く。

  

復興へ、飲食店を再開

  

七尾市と奥能登を結ぶ国道沿いに立つ、手打ちうどんと石臼そばの店「どんどん たつるや」。店を切り盛りするのは佐古田さん夫妻(能登中央圏、誓願長〈ブロック長〉・副白ゆり長)だ。

  

佐古田さん夫妻が、営業再開初日を終えて笑顔で(20日、七尾市内で)

  

元日、大きな揺れに襲われて家具は散乱し店内の食器も割れた。幸い、自宅と店に大きな破損はなく、日頃から使用している地下水も使えた。甚大な被害に遭った人のために“何かできることはないか”と、店に残っていた食材を使い、うどんなどの炊き出しを実施。3日間で100食近くを提供した。皆の喜ぶ顔を見て本格的な営業再開への思いは募るが、葛藤もあった。
 
「市内でも被災状況に差があります。再開できない店舗がある中“自分だけいいのか”と。お客さんが来てくれるかも分かりません。それでも、“元気な七尾をもう一度取り戻す”との思いで再開を決めました」
 
かつて広島の土砂災害で被災した人が、復興の力にと救援物資を届けてくれたことも、心の後押しとなった。

  

「たつるや」の誇りが詰まったのれん。ここをくぐると佐古田さん夫妻の優しい笑顔と湯気立つうどんに、身も心も温まる

  

営業開始は1月20日。地下水の水質調査もクリアし、復興への祈りを込めて再出発の“のれん”を掲げた。再開初日、「たつるや」の味を求めて、客足が途切れることはなかった。
 
佐古田さん夫妻の踏み出した新たな一歩が、被災者へ、そして地域へ希望と勇気の光をともしている。

  

「こんなに近くで並んだのは久々だよ」。佐古田さん夫妻が破顔一笑

  

一杯に復興への思いを込めて