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トインビー対談の発刊50周年

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画像 対談の様子

イギリス・ロンドンで対談に臨むトインビー博士と池田先生。二人の語らいを収めた対談集は“現代の百科事典”とも評されている(1973年5月)

 

20世紀を代表するイギリスの歴史学者アーノルド・J・トインビー博士と池田大作先生の対談集『21世紀への対話』の発刊から、2025年3月20日で50周年を迎える。
 
同書は、これまでに世界31言語で出版されている。
 
半世紀前、発刊を伝える当時の本紙には「西洋と東洋の英知の融合」との見出しが躍った。その対談の開始は1972年5月5日。博士から池田先生への強い要請をきっかけに、イギリス・ロンドンにある博士の自宅で始まった。
 
当時は、米国とソ連を中心とした冷戦の時代。世界が東西に分断され、ベトナム戦争は泥沼化していた。さらに、核兵器や公害など、人類の生存を脅かす数々の難題も重なっていた。
 
洋の東西を超えた二人の対話では“人間とはいかなる存在か”という根源的なテーマをはじめ、宗教や科学、政治、軍縮など、人類が直面する課題解決の方途を探った。
 
翌73年の5月にも対談が行われ、語らいは合計で約40時間にも及んでいる。
 
対談終了後、博士から「世界に対話の旋風を」と託された先生は、そこから世界中の識者や指導者との対話を大きく展開していく。それらの語らいをもとに発刊された対談集は、約80点となる。
 
池田先生はつづっている。
 
「対話こそ人間の特権である。それは人間を隔てるあらゆる障壁を超え、心を結び、世界を結ぶ、最強の絆となる」

 

画像 各国原語版のトインビー対談

世界31言語で出版されている対談集。人類の未来に希望を見いだすための一書として、半世紀にわたって読み継がれている

 

トインビー博士と池田先生の対談集の邦題は『21世紀への対話』。博士が付けた英語版のタイトルは『CHOOSE LIFE』〈生への選択〉。人類が生存の道を進むのか、破滅へ向かうのか。両者は未来への希望を、この一書に託していたに違いない。
 
日本語版が発刊された75年、博士はその完成を見守るように86年の尊き生涯を終えた。
 
2度目の対談の最終日、トインビー博士は池田先生に語っている。
 
「私たちの対談は地味かもしれません。しかし、私たちの語らいは、後世の人類のためのものです。このような対話こそが、永遠の平和の道をつくるのです」