長崎平和学講座

長崎平和学講座では、1989年より「被爆体験」「核兵器廃絶」をはじめ、「人権」「ジェンダー」「SDGs」など、被爆者や識者に多角的な視点で講演を開催。2023年8月には、100回を数えました。国連が提唱する「平和の文化」構築に向け、人類的諸課題の解決の方途を見つけていくとともに、他団体とも連携を取りながら、意識の啓発運動を継続しています。

過去に開催された主な講座
※役職名・肩書は当時

二重被爆3世 語り部
原田小鈴氏

広島と長崎で被爆した「二重被爆者」の孫である原田小鈴氏が講演(2022年7月)。
原田氏は2011年から、他界した祖父・山口彊さんの被爆体験をもとに、講話や紙芝居を通して平和の尊さを訴える活動を続けています。
講演では、核兵器に対する認識が各国で異なる現状を紹介。〝キノコ雲の下の惨劇〟を被爆地から発信していく重要性に触れ、「被爆者の思いを継ぎ、自分にできる行動を」と語りました。

スロベニア共和国
アナ・ポラック・ペトリッチ駐日大使

スロベニア共和国のアナ・ポラック・ペトリッチ駐日大使が「平和と世界の建設~人権教育を推進するスロベニア共和国」と題して講演(2022年5月)。
大使は凄惨な戦争の反省から人権を巡る法制度が発展してきた歴史を概説。力によって安全を守るという発想に走るのではなく、万人の尊厳を差別なく保障する、人権規範や制度の普及こそ持続可能な平和と安全を築く道であると述べ、人権教育の重要性を語りました。

マーシャル諸島共和国
トム・D・キジナー駐日大使(当時)

マーシャル諸島共和国のトム・D・キジナー駐日大使が「マーシャル諸島共和国と平和の精神」をテーマに講演(2017年9月)。
大使は冒頭、長崎と広島、同国をはじめ、核による全ての犠牲者に黙とうをささげました。同国の領域は、1946年(昭和21年)から58年(同33年)まで、アメリカによる核実験場として利用されました。水爆や高性能の核爆弾が使用され、その回数は67回にも。飛散した核物質の影響で、多くの人が健康を害し、今なお苦しんでいる事実を紹介。「核兵器がもたらす〝痛み〟を共有する長崎とマーシャルの人々が協力し、核のない世界を」と望みました。

核時代平和財団会長
ディビッド・クリーガー氏

核時代平和財団のデイビッド・クリーガー氏が「核兵器なき世界へ――長崎の使命、青年の役割」と題して講演(2013年、11月)。
氏は、核兵器の正当性は断固として、否定できる、と強調。長崎や広島の被爆者の肉声こそ、核兵器に対する重大な警告であり、そのメッセージを世界に届ける運動を強力に進めよう、と呼び掛けました。さらに「青年の力は核弾頭よりも強い」と力説。核兵器廃絶に向け、「思いやり」「献身」「勇気」「創造力」「協力」に満ちた行動を起こそう、と念願した。
最後に、「池田SGI会長が育ててきた、学会青年部に平和運動の成功を見る思いです」と期待を寄せました。

ピース・デポ顧問
梅林宏道氏(RECNA初代センター長)

NPO法人「ピースデポ」特別顧問の梅林宏道氏が「『核なき世界』の実現に向けて」と題し、講演(2012年1月)。
福島第1原子力発電所の爆発事故が、核による放射能の危険性を再認識させる契機となったことに言及。原子力発電所に「安全神話」がつきまとうように、核兵器にも「不使用神話」があり、多くの市民は〝核兵器が使われることはない〟との幻想に陥っている可能性を指摘。その危険性を取り除くには、核兵器を廃絶する以外にないと強調しました。
その上で、「核なき世界」の実現には、意識ある人が声をあげ、市民の力を糾合し、社会に働きかけていくことが大切だと訴えました。
平和・文化・教育